三島の見解

古の女子高生

【オペラ】ファウスト(英国ロイヤル・オペラ)

f:id:mishimashikahika:20190923085426j:plain

2019年9月18日(水)

英国ロイヤル・オペラ 2019年日本公演

ファウスト

 

 

指揮:アントニオ・パッパーノ

演出:デイヴィット・マクヴィガー

 

ファウスト:ヴィットリオ・グリゴーロ

メフィストフェレス:イルデブランド・ダルカンジェロ

マルグリート:レイチェル・ウィリス=ソレンセン

その他キャストは画像参照

 

イギリスのロイヤルオペラの引っ越し公演です。

引っ越し公演ってチケット高いな。

でもオケも合唱も連れてきたらそうなりますよね。

 

ダルカンジェロ氏が来日するということでチケット買いました。

ファウストよりオテロの方が興味ありましたが、ダルカンジェロ氏がキャスティングされていたのがファウストだった為、こちらを購入。

 

グノーのオペラってどうよ?って思ってたのですが(失礼)、ものすごく楽しめました。ファウストにしてよかった。

 

いいもの観た感に包まれている。

忘れないうちに感想を。

 

 

オーケストラは確実な演奏をしてました。地盤、土台と言った表現が当てはまる正統派な演奏、良い意味で硬い演奏でオペラを作り上げていました。歌手が安心して歌えるオーケストラって大事ですね。

 

 

歌手陣は皆様極めて良好。


グリゴーロ氏の若返る前と後での声の違いよくわかり、またそこまでの変化を出すのに発声が崩れないのさすがだな思いました。プロってすごい。一流ってすごい。

 

3幕の歌唱時に高音の時につま先立ちをするほど身体を使っていて、ここまで身体動かす人だったかなと思いましたが、歌唱は素晴らしいものでした。

 

千秋楽は降板になってしまいましたね。

多少無理してたのかなー?

 

 

ダルカンジェロ氏のメフィストフェレスもこれまた素晴らしい。


悪魔という役を前に出さず、人間らしく、愉快に、楽しそうに動いていましたが、時折見せる冷酷な表情や空気感が「人間ではない」ということを思い出させました。映像で見たときから思ってましたが、ダルカンジェロ氏は役者ですね。好きです。


3幕アリア「le veau d'or」にはまりました。

オケがじゃんじゃかじゃんじゃか(何)鳴っているのによく歌えますね。本当プロすごい。

 

ダルカンジェロ氏、5回くらい着替えてましたね。忙しい。黒のドレスも何故か着こなしてましたね。何故か。

 

男性歌手が女装するという、場合によってはコミカルになってしまうところも、笑いにならず(笑ってた方はいましたが)に話に収まっているのは悪魔の力でしょうか。にしても着こなしてたな。美しいっす。

 

 

メフィストフェレスは役自体もですが、曲も全て難しいですね。譜面を見たことがないので詳しくはわかりませんが、相当な難曲揃いかと。メフィストフェレスに限らず全体的に難しいオペラだなと。でもドラマチックで面白い。ずっと舞台が動いてる。

「オペラってこういうことだから!」って言われたような気がします。新たな出会いです。

 

 

この偉大なる男性歌手2名より歌唱面では光っていたのが、ヴァランタン役のステファン・テグー氏。


素敵な声の持ち主。第一声で上手いことがわかる。出番は多くありませんが、どの場面でも美しい声を聞かせてくれました。もっと目立つ役でお目にかかりたい。

 

 

特筆すべきは5幕。ワルプルギスの夜


踊りと悲鳴のような笑い声が狂気。何かアトラクションに乗っているような、体験型オペラのような、舞台の中に入ってしまいました。

 

 

音楽とダンスのボディーブローを受け、牢屋のシーンに入る頃にはこちらもマルグリート同様気が狂うかと。

 

5幕は演出の1人勝ちではないでしょうか?

 

バレエシーンはジゼル風の振り付け。

ここはよくわかったのですが、個人的に思ったのは、1幕冒頭のダンサー2人の振りもジゼルとアルブレヒト風でしょうか?(ジゼル1幕冒頭)

 


また、4幕のヴァランタン(兄)が死ぬシーンもジゼル1幕のジゼルが死んだ後の動きに似てると思ったのですが、ここもジゼルからでしょうか?

たぶん考えすぎですね。

ジゼル観たくなってきた。

 

 

5幕牢屋のシーンの前、子供の棺を開ける場面。こちらは何も見えませんが、目を背けたくなり、完全に物語のその他大勢の1人になってました。何も見えていないのに。メフィストフェレスおそるべし。


牢屋の場面のマルグリートは、ソレンセン氏の本領発揮だったのではないでしょうか?

 

歌唱は全幕を終始安定していましたが、ここでの不気味さが怖かった。静かな狂気。

 

ソレンセン氏はインスタで日本を満喫しておられてとても可愛いらしいです。

 

ステージではあまり華やかな印象はなかったのですが、本人は華やかで美しい人ですね。

役柄に徹しているのかもしれません。

 

 


4幕以降はゴリゴーロ氏ではなくファウストダルカンジェロ氏はなくメフィストと呼ぶのが相応しく、これだけの有名歌手にもかかわらず役とグノーの音楽に全てを捧げていたように感じます。


オーケストラが忠実に音楽を作るところもそういう効果に繋がったのかと。

 

 

生でファウストを観るのは初めてでしたが、私の好みのオペラであることがわかりました。音源も映像も大切だけど、劇場に行かないとわからないことが多すぎます。嬉しいけど辛い。(お金的に)

 

松本オネーギンを観たときのような、その場その場での衝撃は少なかったのですが、終わった後からじわじわきます。

 

じわじわ系オペラ。

楽しかった!!!!!

 

 

 

 

 

ということで(?)オテロのチケット買いました。