三島の見解

古の女子高生

【オペラ】夜鳴きうぐいす/イオランタ(新国立劇場)

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2021年4月8日(木)19:00公演

夜鳴きうぐいす/イオランタ

新国立劇場オペラパレス

 

 

 

『ドン・パスクワーレ』ぶりの新国立劇場さん。

ご無沙汰しております。初台さん。

 

 

ドンパスは大満足、高品質、最高の公演だったのですが、その前に観た公演、『エウゲニ・オネーギン』の完成度の低さに足を引っ張られすぎて、それ以降の公演のチケットは買わなかった。同じ思いはしたくないよね。なぜ、公演のチケットを買うときに、不安になっているのだろうか。仮にも『国立』という名前の劇場で何をやっているのか。因みにオネーギンは演出が良くなかったという話ではなく、『完成度』の問題です。三島さんが気になる新国オネーギン問題でひとつ更新したい。まとまるかしら?

 

 

 

 

 

そんなトラウマを抱えながらも今回の公演のチケットを買ったのは、ロシアオペラだから。 

 

 

 

 

オペラの感想の前に、久々に訪れた新国立劇場の感想。

 

来場者カード記入の【ご協力】っていうのが腑に落ちない。【記入しなきゃ入れないからね!】って言えばいいじゃん。言えないのはわかるけどね。でももうこんな世界だからはっきり言ってほしいよ。実際入れてくれないし。協力ってなんなんだ。紙じゃなくて、WEBで入力させてほしい。もしくは半券に名前と電話番号書いてきてね、とかでも良い。劇場まで行ってから記入するのが嫌なもので。WEBは客層(年齢層)的に厳しいのかな?

 

協力はするけどスマートに入場したいっす。

 

 

あと、これは完全に梅田芸術劇場のせい(せいではない)なんだけど、劇場内(ホール内)が安っぽく感じた。今まで感じたことなかったけど、「こんなちゃっちい感じだったっけ?」って思ってしまった。良し悪しではなくただの感想。比べるわけではないけれど、梅芸のつくりは豪華だなって思った。思っただけで特に意味はない。

 

 

 

では観劇の中身の感想。

 

 

 

ー夜鳴きうぐいすー

 

その1 夜鳴きうぐいす(三宅理恵さん)が上手だった。

高音の響きがとても綺麗でしたね。最初から最後まで安定した響き。声が美しく通る。確実な響きと語りかけに引き込まれた。とても良かった。

 

当初のキャストはドンパスのノリーナ役のトロシャン。トロシャンで観たかった気持ちはあるけど、これだけ歌える歌手がいるのにわざわざ外国から呼ばなくても良いのでは?と思いました。三宅さんが拠点を海外に置いている方だったら意味がわかるのですが、日本にいるなら起用しなさいよ、というお話です。全ての演目に言えるわけではないけど、短く壮大ではないオペラなら日本人をどんどん起用してアピールしていこうぜ。

 

 

その2 後ろのコイキング(ではない)が可愛かった。

死喰い人(ではない)も出てきた。舞台装置が総じて良い。バレエ『le Rêve』を観たときにも感じましたが、(昔の)西洋人がイメージする東洋はめちゃくちゃでおもしろいです。この演出掘り下げたいというかちゃんと感想書きたいのですが、歌手のぬけ切らない歌がすごくストレスで何も書けない。

 

 

その3 男性歌手が全員微妙。

漁師、声がいまいち響かない。でも最後の方は良かった。皇帝、男性陣の中では一番良いが、いまひとつ。侍従、声が届かない。このあたりはストレス指数高めでしたね。

 

 

その4 オケが安定している気がした。

(オネーギンのトラウマで)期待していなかったけど、上手だった。これはもう歌いらないのでは?と思える箇所が何度もあった。そう思えるくらい心地よいオーケストラだった。だからオネーギン頑張って欲しかった。

 

 

 

中身少ない。では次。

 

 

 

 

ーイオランター

 

イオランタは3回目!新国立劇場研究所の公演も観ました。好きなオペラ作品の1つです。

 

 

 

その1 タイトルロールえぐいうまい。

『夜鳴きうぐいす』に続き、同じくタイトルロールのイオランタ(大隅智佳子さん)が上手い。ずっと上手い。高音も綺麗。声量もある。安定。ちゃんと上手い人いるじゃん。なんでもっと起用しないの?大人の事情?

 

 

 

その2 それはドーランですか?

イオランタさん、歌はとても上手いのですが、上手いからこそ気になるのです。化粧おかしくないですか?眉毛が濃すぎではないですか?頬の余白がやけに濃いのはドーランですか?塗りすぎましたか?ドーランが濃いおかげで、正面のお顔は小さく見えるのだけど、横向いた時のお顔が不自然。そこだけ日焼けした?プロのメイクさんがお化粧しているよね?

 

オペラ歌手に向かって、「役と実年齢がかけ離れている」とか「死ぬ役なのに健康そう」とかとか言うのは意味がないことだし、言うつもりは全くありません。だけど、化粧でなんとかなる部分ってたくさんあるじゃないですか。特に女性は。意味もなく老けて見えるのがなんかな。乳母と同い年に見えるし、なんならルネ王も同級生。そういう設定の演出だっけ?

 

 

 

その3 波止場のロベルト。

ロベルトのお歌のときの演出が大好きです。ピンスポ最高です。ピンスポになったとき吹き出しそうになったけど、飛沫問題だから我慢した(マスクしてます)。笑っていいところのような気がしましたが堪えました。昭和の名俳優のようなロベルト。波止場のポーズっぽいのがキマってるロベルト。赤いハンカチ(?)をおもむろに取り出すロベルト。足が短い(短く見えた、実際は知らん)ロベルト。「仲間連れてくる」って言って頼りない弱そうな人たちを連れてきたロベルト。可愛い。面白い。アホの子っぽい。好きです。ツボです。

 

歌も上手でした。声量もあるし、愛を力一杯叫んでいました。ちょっと喉声っぽいというか、無理矢理押しているような気もしましたが、『夜鳴きうぐいす』の歌手を含め男性歌手が頼りなかったので、ガツンと歌ってくれるところはたくましく、かっこいい。ありがたい。助かりました。

 

 

その4 ルネ王

一番楽しみにしていた妻屋さんのルネ王。絶対かっこいいし、絶対素敵だし、絶対上手だし、最高じゃん。と思っていたのですが、あー、微妙でした。言いたくない。新国立劇場でもN H Kの正月の番組でも妻屋さんの歌を何度も聴いているし上手いことは知っているので調子が悪かったことにします。

 

曲調がかっこいいじゃないですか、ルネ王のお歌って、本当にかっこいい。だから声が乗り切らないのが残念で仕方ない。オーケストラは良かったよ。

 

 

その5 ヴォデモン

はっきり言いましょう。ひどかったです。良いところがひとつもない。なぜこんなに苦しそうに高音を出す人に役を与えたのか、謎です。高音だけでなく他の音域の声も良くない。声量もないから舞台奥に行くと声がかなり聞き取りにくい。イオランタとの二重唱で、大隅さんが引っ張られることなく、自身の歌手としての役目を果たしていたのが本当に素晴らしい。強い。プロの技。本人がどんなに上手でも、一緒に歌う相手がめちゃくちゃな歌い方だと多少は持っていかれる、引っ張られるもののような気がしますが、プロは違いますね。

 

 

 

 

 

 両方に言えること

男性歌手の役不足感は置いておいて。

 

小さくまとまっている感が否めない。まとまってはいるので、『一体感』や全体の『完成度』というようなものは確かに上がります。でも、それは100点満点のところを50点満点にしてもらって満点を取ったというようなもので、完成度は高いけど、良い成績ではないよね、というところです。

 

映像ではなく、劇場で観ているのだから、もっと迫り来るような感覚に包まれたいです。舞台と客席に壁はないのだから、もっとこちらにきてほしい。特にこの公演は、両演目のタイトルロールが素晴らしく歌える方々なので、そこにどんどん乗っかって、頼って、もっともっと舞台の質を上げてほしかった。

 

 

 

最後になりましたが、料理人(針生美智子さん)、死神とマルタ(山下牧子さん)良かったです。今回女性歌手ほぼほぼうまかった。

 

 

 

期待を込めて『勿体無い』という思いを捧げます。(誰に?)

 

 

 

 

 

次のルチアは行かない予定。すでに観たことある演出のはずだし。(生首、生首。)

あれ?新演出だっけ?

 

5月のドン・カルロはこのままのキャストであれば、都合がつけば行こうかな。

 

 

 

 

来場者カードのデジタル化を願っています。