三島の見解

古の女子高生

【コンサート】ソニア・ヨンチェヴァ ソプラノ・コンサート

2022年7月2日(土)15:00公演

旬の名歌手シリーズ2022-Ⅰ

ソニア・ヨンチェヴァ ソプラノ・コンサート

東京文化会館

 

 

 

 

 

おはようございます。

こんにちは。

こんばんは。

 

三島でございます。

 

 

 

浸っていたらこんなに時間が経ってしまった。

 

 

今だに幸福感に包まれております。

音楽を聴いてこんなにも満たされるのは何年ぶりだろうか?

どこにも「?」が浮かばない舞台(どういうこと?)に出会えたのは何回目だろうか?

 

 

 

 

幸せっす。ありがとう。

 

 

 

 

 

ソニア・ヨンチェヴァは、ブルガリア出身の重めのソプラノ(リリコ・スピントかしら?)。メトロポリタン劇場への出演経歴もあり(私の基準の一つにメトで歌った経験があるかないかがある)、我らが(?)ロシアオペラもレパートリーにある。ゴージャスでありながら、可憐でもあり、とにかく容姿も良い。見た目だけだともっと軽い声を想像しますが、レッジェーロ要素はほぼない(よね?)。歌に関しては音源を聴いている限り、ムラのない歌唱をする方だなあという記憶。とても好きな歌手の一人ではないものの、実際に劇場で聴いてみたい歌手の一人ではありました。

 

 

 

 

劇場は当日券が出ているもののほぼ満席といっていいのでは?9割?ちなみに私の隣は空席だった。

 

 

 

 

 

まず、衣装。

1部は赤のベアトップ(袖なし・肩紐なし)の赤いタイトドレスで裾がマーメードっぽくなっているやつ。

(これ↓)

 

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良い。美しい。肩紐なしでずれてこないのいいよね(?)。このドレスが歩きにくいのか、ヒールが歩きにくいのかわからないけれど、扱いずらそうだった。袖に捌ける時にヒールが引っ掛かって脱いでから捌けていった。こういう時に、「ダサい」とならずに「可愛らしいな」と思えるのもステージでのパフォーマンスが一流だからこそだろうな。切ないね。

 

 

 

 

 

 

2部は白のオフショルのフレアドレスに上半身に花の刺繍(かな?)があった。

(これ↓)

 

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こちらも気品を纏いとても美しかった。オフホワイトでなく、純ホワイト。この白に負けないヨンチェヴァの存在感と美しさにみていてうっとりです。

 

 

 

 

 

オーケストラ

これはですね、逆にどうした?というレベル(どういうレベル?)で上手だった。すごく嫌な言い方になるけれど、海外オーケストラと張り合えるくらい良い演奏だった。

 

 

プログラムが出たときは、オーケストラのみの曲が多すぎて、誰のコンサートに行くのかわからないなという気分だったのですが、いざ演奏が始まってみると、どの曲も厚く美しく素晴らしい仕上がりだった。抜粋での演奏なのに、作品ごとに違う世界をつくることができる。いつオペラ本編が始まってもおかしくないくらいに全ての曲が完成されていた。

 

 

 

また、ヨンチェヴァの歌が入る時(こっちがメインなのだけども?)は、上質なベッドという感じの演奏。

 

 

いいマットレス

土台が良い。

 

 

 

歌手がとても歌いやすい演奏だと感じた。オペラ公演とは違い、オーケストラが後ろにいるからこそというのもありますが、オーケストラが優しく彼女を包むような演奏。それは歌手を誘導しているのではなく、共存というか互いに敬意を持って演奏が行われているといった感じ。オーケストラの波に溺れさせることもなければ、引きすぎることもない。争いがない。まじ世界平和。指揮者・歌手・オーケストラのバランスが良い。

 

 

弦楽器が厚い。弦がふにゃふにゃしないから、全体がかなり分厚くなる。

 

 

妖精ヴィッリの間奏曲(2幕より)は聴けて嬉しかった。

 

 

 

 

トドロフ氏の空気感

海外からマエストロ(とか言ってみる)が来ると、何かと構えてしまいがちなのですが、トドロフはふんわり優しい雰囲気。いい人そう(小学生の感想)。ヨンチェヴァから渡された花の匂いを何度も嗅いでみたり、ヨンチェヴァが歩きにくそうなのを心配したり、歌手との関係性もよかったね。ヨンチェヴァ扮するカルメン(アンコール)に芝居に参加させられても、ノリが良く、本人も楽しそうでよかった。本当によかった。マエストロのマエストロ感苦手だからさ。ねえ、マエストロ。

 

 

 

 

 

 

歌の感想を書きたい!

 

 

 

 

 

全体を通して

基本的なことはガランチャと一緒なんだけれども。集中力と支配力だよね。自分の技術に人を集中させることができ、音楽で空間を支配することができる。とても広い会場をたった一人で(まあオーケストラはいるけど)、こちらが集中して聴くというよりかは、強制的にそうなる感じ。完璧な技術にひれ伏すしかない。とりあえず、聴けと。話しはそれからだと。話しはしないんだけど。

 

 

 

 

 

ヨンチェヴァ本人の美しさ、曲作りの良さ、歌以外にも素晴らしいところはたくさんあったが、結局は歌なのだ、歌の技術なのだ。世界のトップにいる歌手とはこういうものだ、と。

 

 

 

 

雰囲気がとても華やか。発光している。自家発電。照明落ちても一人で光ってるよきっと。勝手な想像で、もっと威圧的に出てくると思っていたのですが、全くそんなことはなかった。愛らしく、美しく、可憐で、華やかで、美しい(2回目)。オペラ歌手ってこんなに華やかなのか。何かを作っているわけではなく、本人がオペラ歌手。いや、オペラ歌手はきっと全員そうなんだけれども、なんだろうね?音楽でご飯食べてます感かな?そんな人の歌を聴ける喜びと、自分の住んでいる世界との差に今日も元気に絶望。

 

 

 

 

 

イタリアオペラだけで楽しませる

アンコールでハバネラを歌ったことを除くと、全てイタリアオペラ。しかもベルカント・オペラは1曲だけ。ほぼヴェルディプッチーニ。なのにとても楽しかった。ヴェルディのドラマチックさと、プッチーニの壮大さを再確認。再確認というか、「この曲ってこういう曲なのね。」と新発見です。音源で聴いているのと劇場で生で聴くのは全然違うし。いや、本当に幸せ。

 

 

 

発音はおまけ

言葉は必ずしもはっきりしていない。響きの優先度合いが高すぎて(当たり前なんだけど)、歌詞は聞き取りにくいが、ここまで歌えると発音とかどうでも良くなるのね。そもそもイタリア人じゃないし(開き直り)。

 

 

 

 

曲ごとに短い感想

 

 

 

 

Tasca la notte(Il trovatore/Verdi)

この歌が聴きたかった。一番聴きたかった。Verdiのソプラノの曲で一番好きだと思う。一番は変動制なのでわからないけれども。残念なことに劇場で聴く機会が一度もなかったのですが、ヨンチェヴァで聴くためだったと思えばオールOKですね!

 

 

 

1曲目なのに素晴らしい安定感(当たり前だけど)。「はい。本物のオペラ歌手ですよー。」と言わんばかりの隙のない歌唱。「私は、今、歌の上手い人の歌を聴いているのではなく、オペラ歌手の歌を聴いているんだ。」と思わせてくれる素晴らしいパフォーマンス。この違いわかる?一回きりの東京公演のはずなのに、会場に慣れている感もある。少なくとも探らない。

 

 

 

出だしの1音目と2音目の繋ぎと2音目の伸びが綺麗だった。低音でも高音でも喉の開き具合が一定して安定している。喉閉まった経験あるのかな?喉が開いているから息の流れも一定。上行するとき(「Un Trovator canto」)も安定。ヨンチェヴァは声に特徴があり(と私は思う)、苦手=下手と評価する人もいるかもですが、技術だけを取り出せば本当に完璧。高音も余裕を感じる。天井がない声・響きとはこういうことなのか。

 

 

 

後半部分、「D’amor che intendo io sola」の後も音のハマり方も綺麗。的確。力まずに正確に。正確なのに自由。

 

 

オーケストラもとてもよかった。そのまま本編が観たい。

 

 

 

 

 

Pace,pace,mio Dio(La forza del destino/Verdi)

この曲はこういう曲だったか。てか、出だしのオーケストラの音がカッコ良すぎて痺れた。

 

 

「pace」と言っているだけなのに、そんな表現できるのね。同じ言葉で表現を変えるって結構難しいと思うのですが、ヨンチェヴァの場合、「変えている」というより「変わった」って感じよね。言葉に勝手に感情が乗るというか。言葉が重くなる。高音の伸びも素晴らしかった。この曲をこれだけの迫力で歌えたらどんなに楽しいのだろうか(いや、私はうたわないのだけど)。

 

 

 

本公演は、オーケストラとの調和が本当に素晴らしかったのだけども、この曲が1番それを感じましたね。音楽がドラマチックというのもあるけれど、全員が表現したいものを表現できているというか。私が求めているものと一致しただけかもしれないが。

 

 

 

 

 

Se come voi piccina io fossi(Le villi/Puccini)

一番発音が聞き取りにくかった。

花びらをむしるヨンチェヴァがちょっと面白かった。花占いのような感じではなく「ブチッ」と聞こえてきそうなむしり方。そういう設定なのか?曲が終わった後に、トドロフ(指揮者)にお花をあげちゃうのが可愛かった。

 

 

 

 

 

ハバネラ

なぜか、ガランチャと同じ選曲。まさかのメゾソプラノの歌。客席含め全員が楽しんでいる感じがよかった。ヨンチェヴァからも滲み出る「お前らこれ好きやろ?」感。ちょっとリズムで遊んでみたり、指揮者と絡んでみたり、オペラ本編でないからこその楽しみ方ができた。メゾソプラノの曲を堂々と違和感なく歌い切る力に脱帽。

 

 

 

 

 

 

だから指輪を買ってくれ

なぜか、ガランチャと同じ選曲(2回目)。歌うだろうなあとは思ってました。これもみんな好きだし(?)。ガランチャ同様、「bello bello」の高音が丸い。この箇所は鋭利になってしまう人が多い気がしますが、ヨンチェヴァも丸く綺麗に響く。『pace pace mio dio』あたりとは、完全に声の雰囲気を変えてきた。もちろん声は変わらないのだけど、少女感というか、若い女性の儚さを出しつつ、技術は一定の安定。声の雰囲気ってなんだよ?いや同じ声よ?でもガラッと変えるんだよ。感動通り越して怒り。

 

 

 

 

 

 

 

 

トスカへの入り方がよかった。

一番意気込みを感じた。

歌い始めちゃえば一緒なんだけれど、第一声までに気合いというか気迫みたいなものを感じた。

 

 

 

 

 

 

もうすぐ1週間経ってしまう。

素敵な時間と素敵な音楽をありがとう。

 

 

 

 

 

いつかオペラで会いましょう。

ヨンチェヴァまたきてね。

私も行くね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ソプラノ:ソニア・ヨンチェヴァ

指揮:ナイデン・トドロフ

オーケストラ:東京シティ・フィルハーモニー管弦楽団