三島の見解

古の女子高生

2回目【オペラ演奏会形式】エレクトラ

2023年5月14日(日)14:00公演

サントリーホール大ホール

R.シュトラウス コンサートオペラシリーズ

エレクトラ

リヒャルト・シュトラウス作曲

フーゴ・フォン・ホーフマンスタール台本

 

 

 

 

 

 

 

 

 

お世話になっております。

三島でございます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

本日は5月12日(金)に引き続き、リヒャルト・シュトラウス作曲のオペラを観に(聴きに)行って参りました。

 

 

 

 

 

 

 

4月12日(金)の感想はこちら↓

mishimashikahika.hatenablog.com

 

 

 

 

 

同企画第1弾サロメの感想はこちら↓

mishimashikahika.hatenablog.com

 

 

 

 

 

 

 

サロメサントリーホール公演のみの観劇だったので1回でお別れとなってしまいましたが、エレクトラは両公演とも行くことができました。2回行くことができてよかったです。本日も素晴らしかった。そして素晴らしいということは感想が支離滅裂になるということです。いまだに圧倒されている!興奮している!良い公演は「良かった」という感想で片付けることができてしまうので、そうならないように思い出しながら書けたらいいなあ。なんとか文章にしていきたいと思います。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

では感想いってみよー。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

1回目と2回目の違い

本企画は名前にコンサートと入っている通り、演奏会形式でのオペラ上演ですが、演出監修が入っております。演出家がいるということが全て歌手が自由に動くわけではなく、演出家と決めたあるいは演出家に決められた動きがあるので、1回目と2回目に大きな違いが出ないものだと思っておりましたが、実際に観劇してみると結構違いました。まずそれを書きます。

 

 

 

 

 

 

 

 

後ろからになりますが、終幕のエレクトラとクリソテミスの位置と行動が違いました。12日(金)のミューザ川崎での公演(以下1回目)はエレクトラが舞台下手の壁際に崩れるように倒れ、それを舞台中央から見ているクリソテミスが「Orest!Orest!」(弟の名前)と歌って暗転し終幕でしたが、本日の公演ではエレクトラは指揮台近くの下手側に置かれた椅子に座り、手を伸ばして降ろして(何かを掴みたかったとみた)、その後近くに来たクリソテミスの手を握り、クリソテミスの肩に雪崩れ込んで抱擁して暗転し終幕という流れでした。本日の公演の方が、クリソテミスが1回目より上手な歌唱とお芝居だったので、姉妹での芝居に厚みがありました。1回目より姉妹の絆が強い印象を受けたので、抱き合っている中で暗転は納得です。また、1回目は席の位置によってはエレクトラが完全に見えなかったと思うので、お芝居要素とは別の観点からだと本日の終幕の方が良いですね。ただ、1人きりで終幕の方がエレクトラっぽい気がします。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その前のオレストとの再会の場面は、1回目はエレクトラからオレストの方に近づいていましたが、本日はオレストから近づいていきました。これはどちらもいいですね。1回目は自分から動いてしまうくらい再会が嬉しい。2回目は動けないくらい嬉しい。という感じですね。2人が抱擁するまで時間がかかるのも好きなポイントです。オレストが生きている。そして、今、自分の目の前にいることを噛み締めてからの抱擁で、再会→熱烈な抱擁とならないのが好きです。イタリアオペラみたいにならなくてよかった。(イタリアオペラを悪く言っているわけではありません。ただの偏見です。)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

本日のエレクトラは、1回目ほど狂気の沙汰ではなかったです。中身は同じくらい狂っていると思いますが、外から見た感じはちょっと穏やかに見えました。精神安定剤処方されたかな?無意味に笑う回数が少なかったです。1回目は狂っている姿を見せることに重きを置き、2回目は狂っていない部分を見せることにしたという感じですかね?リソテミスが自分の希望する将来を歌う場面は、真剣に受け止めているような、でもそしてそうならないことを予感しているような表情。理解を示しているような表情だったので、姉妹の絆が深いように見えたのかもしれません。馬鹿にしている感じがないように取れた。本日の公演に副題をつけていいなら「エレクトラ〜姉妹の物語〜」としたいです(ダサい)。クリテムネストラを殺す話をする場面も1日目は恐怖で支配されている2人のように感じましたが、本日はただの姉妹の会話のように感じました。なかなか姉妹で人を殺す話はしないと思いますが。腕を掴まれたクリソテミスはめっちゃ痛そうでしたが。2人の距離感が近いと芝居が深まるというか、物語からは逸脱せずに違う空気感を味わうことができて楽しかったです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

また、エレクトラがエギストにオレストが死んだことを報告する場面も、1回目は真実を知らないエギストが可笑しくてたまらないと言いたいような表情でしたが、本日は表面にはそんなに出さない。エギストが殺されている場面(舞台上にはエレクトラのみ、裏で殺されているはず)も1回目はソワソワドキドキしておりましたが、本日は大人しく座っているように見えました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

演出が入っているという体で書きましたが、もしかしたら歌手自身が自分の意思(というか役の感情)で行ったことかもしれません。音楽的な価値があると思って両日とも行きましたが、まさかの芝居面での収穫がありました。お買い得ですね!同企画の第1弾のサロメも同じ演出家(歌手でもあるサー・トーマス・アレン)でした。とりあえずセンスが良い。余計なことをせずに、意味を出すことができる。美しいです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

サントリーホールの威力とプロのオペラ歌手

エレクトラの出だし「allein!」(ひとりぼっちだ!)でこの公演の成功を確信しました。我々の勝利です。1日目の8倍は響いていましたね。サントリーホールさんすごいな。もちろんエレクトラを歌ったクリスティーン・ガーキーさん(以下敬称略)の声あってこそですが、素晴らしい歌手の素晴らしい声を全力で客席に届けるサントリーホールさんも素晴らしい。歌手の声がスッと体に入っていくる感じがとても心地良い。こちらが声を拾いにいかなければならない歌手にも出会いましたが、ガーキーは座っているだけで大丈夫。安心して座っていられる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

このオペラではエレクトラが「Agamemnon」(父の名前)と何度も歌いますが、アガメムノンの名前を口に出すときは、決まって祈りのような神聖がありますね。どのような音型や音量であっても他の単語より丁寧に歌っているように感じられ、エレクトラアガメムノンへの思いが特別であることがよくわかります。また、「ich bin dies Blut!〜」(私がその血だ〜)の部分でもアガメムノン歌いますが、ここでの歌唱には誇り高さが加わり、エレクトラの王女としてのプライドが感じられました。しかし、この部分が終わるとその雰囲気は消えてしまい、表情だけでなく歌唱でのエレクトラの絶妙な心理描写が素晴らしかったです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ママはちょっと頑張って

両日とも心残りであるのはクリテムネストラの歌唱です。本日はサントリーホールさんが頑張ってくれたので1日目よりも上手く聞こえましたが、でも納得いかない。王妃であってくれ!精神状態が良くなくても王妃は王妃です。登場の場面で、お付きの女を2人連れて出てくるのですが、誰がお付きで誰が主人だかわからないのだ。(お召しの衣装が全員黒だからというのもあるが。)分厚いオーケストラが一緒なのでしょうがない部分はありますが、クリテムネストラの歌唱はオーケストラに飲まれがちでしたね。逆にガーキーはほぼ聴こえる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

エレクトラと2人になってからクリテムネストラの退場までが好きで、特にクリテムネストラの低音域が大好きで堪能したかったのですが叶いませんでした。出だしの「Ich habe keine guten Nächte.」の部分、歌に入る前のオーケストラが高音域が不気味にキラキラしている対比でクリテムネストラの低音域が映えるのが好きなのですが、全然声が入ってこなかった。その後の「Darum」(宝石を付けているの出だし部分)の歌い方も好みでは片付けたくないくらい微妙だった。例え方が難しいのですが、切らないけれど1つ1つの子音を無駄に強調するような歌い方が好きでそれを期待しましたが、両日とも「Da~」と聞こえてしまいました。「rum」はどこへいったのか?散歩かな?強調する必要はないけれど散歩は良くないね。この場面が出番でありこの場面が見せ場なクリテムネストラだからもっとしっかり聴ける感じでお願いしたかったです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

1日目は黒いロングスリーブのドレス(というよりワンピース?)の袖から赤いレースが手の甲まで広がっていて、人(アガメムノン)を殺したことを表しているようで気に入っていたのですが、本日は着ていなかった(見落としの可能性ありなので写真がどこかに出たら確認する)のがとても残念だった。クリテムネストラもエレクトラも自分自身の頭を抱えたり押さえたりすることが多くて、親子なんだなーと思いました。そういう意図はない気がするけれど。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

エギストとオレストは両日とも差を感じなかったです。終幕後、コンサートマスターと握手するガーキーの姿がかっこよかった。共に戦った仲間みたいな讃えあっている雰囲気。カーテンコール中も役の残り香が消えない歌手も多々いるなか、ガーキーはすぐにエレクトラが出ていきますね。ニコニコしながら何度も出入りするガーキーが可愛いです。

 

 

 

 

 

 

以上です。

 

 

 

 

 

 

 

 

感想を書いてみるとよくわかりますが、私はオペラを聴くのではなく観ているのですね。本来は「聴く」が正しいですが、オペラを手段とした芝居を観ています。じゃあストレートプレイを観れば?と言われそうですが、歌が好きなもので。すまんな。歌(音楽)と芝居が合体したものが好きです。(なので分け隔てなくミュージカルも好きです。)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

幸せな週末でした。今年のメインイベントが終了した感があるのですが、まだ半年以上残ってますのでこの後も素敵な音楽に出会えますように!

 

 

 

 

 

 

 

ガーキー、来日してくれてありがとう!あなたのエレクトラ大好きです!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ではまた劇場で!