2026年11月1日(日)13:00公演
すみだトリフォニーホール
エリーナ・ガランチャ
メゾソプラノリサイタル2026

お世話になっております。
三島でございます。
オペラ歌手のエリーナ・ガランチャさんの再びの来日公演です。
前回の来日の際は不安定な歌唱と全体的に疲労を感じたことが印象に残っています。特にオーケストラ伴奏の公演ではアンコールをしないで帰って休んでほしいと思った記憶があります。今回の来日は「もういいかな」と思っておりましたが機会が巡ってきたということでトリフォニーホールにGOしました。今回はサントリーホールと合わせて2公演でピアノ伴奏公演はなし。集客苦労している様子です。がんばれ主催!
一応前回の投稿。
mishimashikahika.hatenablog.com
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それではレビューいってみよー。
(以下敬称略。)
全体的に
昨年の来日公演の仕上がりが夢だったのではないかと思うほど良い演奏が続いた。前半は紫の袖にスリットがあるドレスを着用。ティファニーのハードコアシリーズっぽい金のネックレスが素敵でした。存在感があるネックレスですが堂々と舞台に立つ人がつけると浮かない(突然のネックレスレビュー)。ソプラノのオペラアリアも歌うプログラム構成で前回と前々回がほぼ同じ内容だったことを思い出せば面白みのある良いプログラムです。
前半は一つ一つの言葉に魂を込めるような歌い方で冷静ながらも熱量は高い。熱い歌唱でもイタリア風テノールのように広げたり押したりせず芯の太いぶれない歌唱で素敵だった。私の初ガランチャは2022の同会場ですがそれが蘇るようなあの時感じた燻銀のような美しさがあった。燻銀って良い意味にとらえない方もいるそうですが私の語彙群の中では最上級の良い言葉であり何より燻銀が好きです。
しかし後半は声が前半より浅くなり言葉がさらに聞き取りにくかった。前半で追い詰めた分後半がフニャフニャしてしまった印象。アンナ・ネトレプコが選びそうなショッキングピンクのドレスは単体では鮮やかで素敵なドレスですがウエストがリボン留める仕様のゆったりとしたラインなのでドレスというよりワンピースぽく見えてしまう。ガランチャ自身は笑顔が増えてよかったけれど歌唱は緩ませないでほしかった。しかし一流の歌手ですので大きなしくじりはなくアンコールまで駆け抜けた。
アンコール↓(AIで綺麗にしてもらった)

デリラかサムソンを歌わないで帰ることなんてあるのかなって思っていたらしっかりカルメン(ハバネラ)の登場。朝飯前のパフォーマンスとやっぱり楽しみにしていた客席でお祭りテンション。慣れ親しみすぎてもう歌いたくなくなりそうだがメゾソプラノ=カルメンの式(?)は崩れない。個人的にはセギディーリャを期待してい他のでちょっと残念。カルメンのときはいつも歌い終わった後にお腹を叩くのはなぜ?アンコール課題曲の”O mio babbino caro”はなし。
オーケストラがなぜか調子良い。前回来日時に指揮者兼旦那のカレル・マーク・チチョンには特別な印象はなかったが今回の指揮の熱量が高く大きな身振り手振りでオーケストラをよく導いていた。日本のオーケストラの扱い方が上達したのではないか。特にプッチーニ2曲(『マノン・レスコー』間奏曲・『トスカ』”Vissi d'arte, vissi d'amore”)ははっきりしっかりとした音とオーケストラの厚みを感じる演奏で良い仕上がりだった。
簡単に曲ごとのレビュー(全曲ではない)
ガランチャパートは“Io son l'umile ancella”(『アドリアーナ・ルクヴルール』F.チレア作曲)から始まった。「どうも!オペラ歌手です!」という大々的な感じはなく普通に出てきて普通に始まった。口の中の空間を感じる第一声にとても安心しました。これぞオペラ歌手と思える深い声が素敵。本来はソプラノの曲ですが違和感はなく、なんならメゾソプラノの曲より音楽の流れと丁寧さがありました。ソプラノと間違えることは無い声だが曲とは合っている。
声の強弱コントロールがスムーズすぎてリモコン一つで上げ下げしてような感覚だった。口の中の空間や口の形などは変わらず顔面や身振り手振りなど表面的な操作で頑張らなくてもピアニッシモもフォルテもできる。ピアニッシモでも流れや音質は変わらないんですね。
”Vissi d'arte, vissi d'amore”(「トスカ」G.プッチーニ作曲)は個人的には第一位です。こちらもソプラノの役ですが同じく違和感なし。ガランチャの声で聞けることにお得感すらある。本役ではおそらくやらないだろうし。高い集中力から始まる第一声の響きがホールを上手に使っており素敵。高音は強く太い。メゾソプラノが無理矢理出している感じはなく余裕のある声だった。フォルテ気味の熱いオーケストラに負けない声量があるが熱いオーケストラの前で一緒に熱くならず冷静に歌っていた。
“Acerba voluttà, dolce tortura... Vagabonda stella d'oriente”(『アドリアーナ・ルクヴルール』F.レチア)はメゾソプラノのガランチャらしい暗く影のある低音を披露。ここまでのどの曲よりノイズのような、声のガサガサが気になった。低音域に無理はなくそこから派生したようなその他の音域もよく出る。いつも口の中にスペースがありブレスの位置を感じさせない安定した歌唱を前半最後まで続けた。
後半は笑顔で登場し"Canción de Paloma”(『ラバピエスの理髪師』F.バルビエリ作曲)と"Romanza de Socorro”(『エル・バルキジェロ』チャピ作曲)は楽に歌っておりました。重めのパートが終わったからか和やかな雰囲気。しかし歌唱の緊張感も切れてしまった。オーケストラが乗り切らないのとガランチャの声が引っ込み気味でこちらは不安になった。音源ほど盛り上がらない歌い方でした。
イタリア歌曲3曲は前半で強く感じた音楽の流れ(つまりレガートライン)がなく聴いていて落ち着かなかった。オペラアリアだとオーケストラ演奏が救ってくれるときがありますが、歌曲それもトスティとなると鬼レガートが必須となる。また、歌曲となると歌詞が聞き取れない(ガランチャは元々明瞭に発音しない方ですが)ことがオペラアリアよりも気になる。
改めてオペラアリアと歌曲の違いを勉強することとなった。旦那編曲の”Musica proibita”(S.ガスタルドン作曲) の出だしのバイオリンは恐ろしい。なぜソロなのか。絶対弾きたくない(いや弾けないけど)。無事完走してくれました。
素敵な部分もあれば気になる部分もありました。第一線で活躍する歌手であることを改めて証明してくれたような気がします。堂々とした舞台姿や無駄に動き回らない歌唱スタイルはとても素敵ですし集中力を感じることも多かった。「ガランチャは実はソプラノだ!」ということはないですがソプラノの曲をがランチャスタイルで歌ってくれたことも良い出会いとなりました。
機会に感謝です。ありがとうございました。
プログラムの完売は毎年だよね?





