三島の見解

古の女子高生

2回目【オペラ演奏会形式】エレクトラ(東京春祭2024)

2024年4月21日 (日)15:00公演

東京文化会館大ホール

東京・春・音楽祭

リヒャルト・シュトラウス作曲

フーゴ・フォン・ホーフマンスタール台本

エレクトラ(演奏会形式)

お世話になっております。

三島でございます。

 

今年の東京春祭ラスト公演に行って参りました。

リヒャルト・シュトラウスで始まり、リヒャルト・シュトラウスで終わる私の春祭。ありがたい。

www.tokyo-harusai.com

エレクトラは2公演の開催です。私は18日(木)も劇場へ伺い聞きましたが、残念ながら納得できない出来でした。消化不良です。

 

(感想はこちら↓)

 

 mishimashikahika.hatenablog.com

 

それでは21日の感想いってみよー。

18日との比較が多く入る感想文となりますがどうぞお願いいたします。

(以下全て敬称略)

 

最初に一言

そこまでできるなら18日からその完成度で演奏してくれ。

 

と言いたくなるほどに上手でした。個人差はあるけれど歌手からもオーケストラからも勢いを感じました。音楽の中にある表現もわかりやすく、ただフォルテで頑張っている演奏ではなくなりました。千秋楽パワーでしょうか?とりあえず満足です。

 

会場の様子

客入りは平日夜だった18日に比べれば多かった気がしますが、1階席後方の空席が目立ちました。映像配信をする関係で座ることができないなど事情があるのかな?と思いたい。そうであってほしい。チケット代が安くないのも理由の一つかな?

 

大きい音楽イベントの最後の公演ということを考えるとチケット完売の満席で終わりたいところですが、最後にエレクトラを持ってくるあたりあまり考えていないのかな?

 

オーケストラ

18日は楽譜に書いてある音に食べられてしまっているような余裕のない演奏と大きな音を出して頑張ることはできているましたが肝心の中身のない音楽に悲しい気持ちなりました。

 

21日はシュトラウスが書いた音楽についていくことができ、なんなら楽譜の音楽を食べるような勢いを感じました。

 

終幕間際の”Sie fahren dahin wie〜”からの演奏は素晴らしかったです。まさに熱狂的な音楽でした。耳が痛いくらいの音圧で音楽が勢いよく劇場に広がってました。シュトラウスがいると謎の感想を持ちながら残り少ないこもオペラの時間を楽しみました。

 

ここがきちんと盛り上がるとエレクトラが動かない→クリソテミスの「オレスト!オレスト!」への叫び歌へ上手に話が動いてくのだなと感じました。18日はただの流れ作業のような演奏で書いてあるから演奏していますという感じが否めまさんでしたが、物語の展開として重要ポイントを演奏で落としていくような表現がわかりやすく、またこの物語を上手く着地させることができていました。

 

最高にドラマチックな音楽が好き。

 

シュトラウスの作品に限らず、オペラは歌手が歌うことで成立しますが、完成度の比重はオーケストラの方が重荷を背負っているのだなとしみじみ感じます。歌手がスター揃いでもオーケストラが平均並みだと全体的な満足度につながりません。逆に歌手の存在を消すようなオーケストラの充実した演奏があればそこらへんのオペラ歌手でも上手くいくのでしょうね。

 

指揮者ヴァイグレの特集

18日よりも踊っていなかったと思います。全くもって省エネな動きではありませんでしたが18日に比べればおとなしめに指揮をしておりました。

 

そのなかで気になった動きが3つあります。深い意味はないです。面白いなと思っただけでバカにしてる訳でもクレームでもありません。ヴァイグレは仕事してるだけだからね。

 

①湯加減確認

自分の前に置いてある譜面台より下に手を降ろしてまるで湯加減を確かめるように両手をゆらゆらと動かしてました。どういう指示だかわからない。プロとプロだとわかるのでしょう。

 

②炭坑節

両腕を体の左側に押し出すように動かすのが炭坑節の振り付けみたいでした。こちらもどういう指示だかわからないけれど客がわかる必要がないので問題ない。でも知りたい。

 

③歌うように

右側の楽器たちにに向けて手を口に近づけてひらひらさせながら手を遠くへ伸ばしてました。もっと歌うようにーみたいなことかな?

 

ヴァイグレ観察面白かったです。またやりたい。

 

ここはほしい

全体的には頑張ってくれた演奏ではありましたが、気になるところもいくつかありました。金管の音があやしかったり、情緒のない弦楽器の音があったりと。このあたりはおや?と思った記憶だけ残っており、どこの部分だったかの記憶がご丁寧に抜けているのでそういう部分もあったよーと書いて終わりにします。

 

上記とは別に明確に覚えているのは2箇所。

① クリソテミスの「私は普通に生きたい!」の音楽

一番わかりやすい美しさがある部分です。

 

音に膨らみがなかった。クリソテミスのテンションとは裏腹にオーケストラは抑え気味な演奏でした。ヴァイクレの指揮は理解が難しい抑えがある。意味があるのかオーケストラの音がついていけなかったのかわかりかねる。

 

エレクトラとオレストの会話

2人が会話しているときにエレクトラの歌と一緒に演奏される流れるような音楽とオレストの自身の登場から一緒にいる音楽が交互に聞こえるのが面白のですが、オレストの音楽が抑え気味で交互に演奏されていることがわかりにくいと感じました。

 

オレストの音楽は低音なので聞き取りにくいというのがありますが、エレクトラが上からくるような感覚に対してオレストの地面を張っているような音楽がしっかり聞こえればもっと面白いと思いました。このオペラって音の応酬で忙しくて楽しいよね。

 

とりあえずここまでで更新します。

歌手個別は別更新にて感想を書きます。

 

つづく。

 

指揮:セバスティアン・ヴァイグレ

エレクトラ:エレーナ・パンクラトヴァ

クリテムネストラ:藤村実穂子

クリソテミス:アリソン・オークス

エギスト:シュテファン・リューガマー

オレスト:ルネ・パーペ 

第1の侍女:中島郁子

第2の侍女:小泉詠子

第3の侍女:清水華澄

第4の侍女/裾持ちの侍女:竹多倫子

第5の侍女/側仕えの侍女:木下美穂子

侍女の頭(ソプラノ):北原瑠美

オレストの養育者/年老いた従者:加藤宏隆

若い従者(テノール):糸賀修平

合唱:新国立劇場合唱団

合唱指揮:冨平恭平

管弦楽読売日本交響楽団