三島の見解

古の女子高生

【コンサート】アンナ・ネトレプコ プレミアムコンサート

2023年3月15日(水)19:00公演

サントリーホール

アンナ・ネトレプコ プレミアムコンサート



 

 

 

 

 

 

 

お世話になっております。

三島でございます。

 

 

 

 

 

 

 

 

2日連続でサントリーホールへ。

14日のドイツ歌曲コンサートの余韻に浸る暇なくディーヴァの来日(with旦那)でございます。

(14日の感想はこちら↓)

mishimashikahika.hatenablog.com

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アンナ・ネトレプコ(以降アンナちゃん)の来日公演。お歌大好き人間としては行かなければならない。しかし今のアンナちゃんにこのチケット代だけの価値はあるのか?しかもソロコンサートみたいな題名だがwith旦那(以降ユーシフくん)公演である。アンナちゃんとユーシフくんのファミリーコンサートなのである。チケット代がもったいないのではない。価値のあるものにお金を払いたいのだ。その価値があるのかよく考えた。数年前には考えなかったような不安をアンナちゃんに向けていた。オペラ歌手は選手生命が長いように感じますが、ピークオブピークの技術で歌える時間は短い。それ自体はしょうがないし悪いことでもない。自分の声に適したレパートリー作り、きちんと自身の声と向き合ってパフォーマンスの方向性を見極めていれば、声の衰えは避けられないが最小限にはできる。そして素敵な歌手で居続けることができる。今のアンナちゃんはどのあたりにいるのだろうか?今まで素晴らしいパフォーマンスをしてきた。それを観てきた(映像だけれど)だけに現実と向き合う覚悟が必要だった。なんで私が色々背負ってるのかはまじわからん。

 

 

 

 

 

 

 

 

因みにアンナちゃんが出ているオペラでこの2つが特に好き。

何故か両方ともザルツブルク音楽祭

 

 

 

椿姫(ピンクのワンピースが可愛い。着たい。)

www.universal-music.co.jp

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

フィガロの結婚(この演出と音楽作りはエッジ効きすぎ。大好き。)

www.universal-music.co.jp

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

覚悟を決めて劇場に行きましたよー。

それでは感想いってみよー。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

舞台の上で生きる人

アンナちゃんとユーシフくんが舞台で出てきて客席に一通り手を振る。ん?王族の方かな?会場間違えた?今日は一般参賀だったかな?とても優雅で美しいのですが、優雅だからこその王族感。それと同時に今日もファンクラブイベントなんだと確信。

(ファンクラブイベント↓)

mishimashikahika.hatenablog.com

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

冒頭にいろいろ言いましたが、私はアンナちゃん好きです。だからフアン・ディエゴのコンサートのときに感じたような疎外感はなくファンの1人として楽しめました。でも、もし、私がアンナちゃんが好きなのではなく、「世界的なオペラ歌手」の歌を聴きに行ったのだとしたらフアン・ディエゴのコンサートの二の舞になっていたでしょうね。オペラでなくお歌ではなくアンナちゃん自体を愛していなければ、疎外感は半端なかったと思います。だからファンクラブイベント。そしてファミリーコンサート。ファミリーコンサートってファミリーが参加するコンサートでファミリーが出演するコンサートではないのかしら?まあいいか。

 

 

 

 

 

 

 

コンサートにおいて、オペラ歌手の稼働範囲は相場が決まっており、指揮者の横から離れても5歩くらいですよね。しかし、アンナちゃんは自由に動き回る。上手にも下手にもふわふわと。クラゲみたいだった。サントリーホールなので舞台後方にも座席(以下P席)があります。アンナちゃんはP席の存在も忘れずに、結構な頻度でP席に向かって歌っていた。P席座った方がお得じゃない?と思うくらい。でもって後ろ向いていても声が飛ぶ。さすがに声量は落ちるが。後ろ向いても声量落ちない人は調整してるのかね?舞台の上でパフォーマンスすることに優れている人ですね。素晴らしいです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

歌唱

まず、アンナちゃん。1番素晴らしいなと思った部分は、フレーズの出だしが中音域でも高音域でも綺麗に声を出す。時々口の開きと声が届くまでに時差がある人(=正しい音になるまでに時間がかかる)がいますよね。出だしがブレるというか、微妙に音が揺れるといいますか。大曲を歌いまくっていると起きやすい現象かなと思います。しかし、アンナちゃんに時差はない。口を開いた瞬間に正しい音がスカッ!と出る。フォルテでもピアノでもなんでも大丈夫。この技術は素晴らしい。そして、ピアニッシモで高音が出せる。これができるソプラノは上手と決まっている。ときどき偽物もいるけれど。加えてアンナちゃんの場合は声の大きさの調整にストレスがない。「意識して調整する」というより「勝手にそうなっている」ように聴こえた。どこでどうするかを頭で把握するのではなく、体に組み込んでいるのだろう。喉にテンションがない。口の中の空間を感じる。口の開き方も綺麗。基本的にブレることのない声。こちら(どちら?)と一線を引いた、遠いところにいる本物の素晴らしいパフォーマンスだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

次にユーシフくん。出だしがピークという比較的珍しいタイプ。出だしだけ良い。出だしだけ。発声が全体的に胸よりになっていおり、喉にテンションを感じる。口の開け方は綺麗ですが発声が浅い。顔面に当てることを意識しすぎてそれ以外が疎かになっているように感じた。レガートラインも薄い。アンナちゃんと一緒に歌っている時はアンナちゃんがつくる流れがあるからそれに乗っかって良くなる。アンナちゃんがお守りになっている。1人だと発生が浅くなるし流れが切れやすい。「i」の母音が全部潰れる。低音が出ない。声自体は強めで結構好き。「Che gelida manina」は上手だった。プッチーニ先生のお歌が得意なのかな?気持ちと音楽が一致しているように聴こえた。ただプッチーニ先生のお歌ってなんとなく上手く聴こえちゃう部分もあるよね。オーケストラが引っ張っていってくれるから、なんとなく歌っていてもそれっぽく聴こえる。オーケストラの質にもよりますが。後、テノールの高音の質。声量で押し切りがちな人が多いがなんとなくそれでみんな感動できるから良いよね。プッチーニ先生の魔法である。みんな!プッチーニ先生のお歌を良いオーケストラと共に歌おうぜ!ユーシフくんは最後の挨拶が丁寧。謙虚さがある。「聴いてくれてありがとう。」と言っているような。そのあたりは好感を持てる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

祭り感

申し訳ないけれど、前日のマイヤーさんのコンサートと比べる。オペラと歌曲。こちらはオーケストラでドイツ歌曲はピアノ。違うところが多いので比べるのがお門違いかもしれませんが、外国人歌手の来日公演でありクラシック(歌)のコンサートという共通点があるので比べます。

 

 

 

 

マイヤーさんのコンサートは、自分の立場に驕らない、ただひたすら音楽と向き合っているようなコンサートだった。また共演者のバリトンさん(ハッセルホリンさん)とピアニスト(ブライルンさん)と共に3人で完成するコンサートであり、全員の立ち位置が同じだった。もちろん主役はマイヤーさんだけど。緻密に精密そして繊細な音楽であり、1曲1曲の密度が濃かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

比べてアンナちゃんのファミリーコンサートはスケールだけが大きい感じでした。言い方を選ばなければ「雑」という言葉になります。お歌を聴くというより、舞台上に存在するアンナちゃんを愛でているような。アイドルのコンサート?なんだろう?フェス?もちろんアンナちゃんの歌唱の技術は素晴らしい。そしてアンナちゃんは歌手でありながらも女優であるので1曲1曲にお芝居がある(ちょっと上面だったけれど)。さすがだと思います。だがしかし、その素晴らしさも「アンナ・ネトレプコ」というフィルター越しだからこその素晴らしさであって、「オペラ歌手」としては雑だと感じました。オペラ全幕公演の1シーンとして聴くなら舞台装置や前後関係など自分以外の構成要素があり、また全幕公演となると集中力も変わると思いますが、今回のようなコンサートとなると、粗が目立ちますね。もう少し中身を詰めてほしいっす。オーケストラや指揮者も共演ではなく、おまけ感が強かった。主役が誰だかははっきりさせた方がいいですが、一緒に音楽をつくっていることには変わりないはず。そういう風には聴こえなかった。良いのか悪いのかわからないけれどアンナちゃんは既に「オペラ歌手」ではなく「アンナ・ネトレプコ」という新しいポジションにいるのでしょうね。アンナちゃんがただの「オペラ歌手」として勝負しなければいけない舞台を観てみたい。そこで初めてアンナちゃんの価値と本質がわかるのだろうなあ。そんな機会はもうないのだろうな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

イタリア語さんフェードアウト(再々)

何?流行っているの?みんなイタリア語諦めたの?

 

 

 

アンナちゃんの歌唱で1番気になったのはイタリア語の発音。何言っているか本当にわからない。元々はっきり発音しない人ではあったけれど磨きがかかっておる。もはやほぼ母音。さようなら子音さん!元気でね子音さん!「Pace pace mio Dio」の出だしの「pa」の発音が「ma」に聴こえた。「pace」の「pa」が「ce」よりも音が高いときに必ず「p」が消滅していましたね。点Pの消滅です。点Pが消滅したので多くの数学を嫌々学んでいる人が救われます。(みんなアンナちゃんに感謝してね!)ここが1番わかりやすいイタリア語の発音ポイントだったかな。それ以外も常にモゴモゴしていた。子音に邪魔されない分、流れが綺麗なのですが、それもどうよ?と気分です。コンサート1曲目の「Verranno a te sull’aure〜」でユーシフくんと一緒に歌う部分はアンナちゃんの子音が聴こえないのでユーシフくんが無駄に切っている人に聴こえてしまった。なんか可哀想。ユーシフくんもそんなにはっきり発音しないのですけど。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

母国語強い

イタリア語はツッコミどころが多かったですが、今回のコンサートにアンナちゃんの母国語であるロシア語のオペラのお歌も入っていております。そうです。我らがチャイコフスキーです。スペードの女王から「Не надо затворять,оставь〜」でした。第1幕2場ですね(あってるよね?)。発音が明確です。気になりません。安心感と安定感。落ち着く。母国語で歌えるっていいよねー。音楽と言葉が両立するってやっぱり素晴らしい。言葉が自由になると表現力も上がります。音楽とは関係なしに持っているものなのか、音楽のために手に入れたものなのかの差はでかいです。アンナちゃんの集中力も高いように感じました。勝手に「外に解放するような役」の方が得意なのかなと思っていましたが、「内側へ内側へ作り込む役」の方が作りやすそうだった。そんなものかしら?ただオーケストラが終始「?」という感じ(どういう感じよ?)の演奏で、チャイコフスキー不在のチャイコフスキーでした。(コンサート全体を通してオーケストラは得意・不得意の差が演奏にはっきり出ていた。)チャイコフスキーのオペラは1シーン(1曲)だけ抜き出さないでほしいのが本音。やるなら全部やれ(過激派)。全部聴きたいんじゃ!!!!(我儘)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

色々書きました。

世界的なディーヴァに心から感動したかったし、打ちのめされたかった。

しかしそうはならなかった。切ない。私が悔しい。

でも逆を考えると素敵な歌手に出会えてきたということだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

次の大きい来日公演(歌手)はダムラウかな?

ダムラウも初めてです。ドキドキです。

こちらもwith旦那公演ですね。

ダムラウの旦那ってグレーミン公爵なんだねー!(語弊)

楽しみー!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アンナちゃん、日本に来てくれてありがとう。

あなたの今後の人生に幸あれ。

ユーシフくんも元気でね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ではまた劇場で。