三島の見解

古の女子高生

【オペラ】セビリアの理髪師(ボリショイ劇場)

2023年2月5日(日)14:00公演

ボリショイ劇場(新館)

セビリアの理髪師



 

 

 

 

 

 

 

この日はモスクワのボリショイ劇場の新館へ。

セビリアの理髪師が見たかったわけではないのですが、なんとなくボリショイ劇場に行きたいなと思ったのでチケットを買いました。後、ロシアでロッシーニがどんな感じに仕上がるのかが気になった。ボリショイ劇場のチケットの売れ行き良すぎで残り7席くらいでなんとか購入。危なかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

では感想いってみよー。

 

 

 

 

 

 

イタリア語さんフェードアウト(再)

マリインスキー劇場で「シチリア島の夕べの祈り」を観たときにも思いましたが、イタリア語がイタリア語に聞こえない!諦めているというか重きを置いていないのだと言い切りたい気持ちです。発音を除くその他の要素はかなり良いです。なので発音は頑張らなくても問題ないという方針でしょうか?籠っているわけではないのですが、発音が不明確すぎる。子音と母音の区別がつかない。ぼやぼやしている。是非イタリア人と一緒に歌ってほしい。比較したい。音楽を優先するためにイタリア語とお別れしたんだろうな。イタリア語の発音の部分だけで言えば日本の劇場(団体)の方が優れていると思います。イタリア語に聴こえないと思ったことがないわけではありませんが。でもオペラ観に行って「イタリア語の発音が素晴らしかった!」という感想もどうよ?と思いますがね。イタリア語を聴きに行っているわけではないので。少なくとも私は。しかし、しっかり発音しないのもどうよ?という感じです。難しいねー。でも言葉は大事だよねー。音楽だけではないしもちろん言葉だけでもない。オペラ歌手やること多すぎ。頑張って!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

素材の味を楽しむ系

記憶に新しい日生劇場の「セビリアの理髪師」。過剰一歩手前の芝居要素盛りだくさんで歌手が歌える方たちだったから(歌える方の歌手ってなに?)だったから崩れなかったものの小ネタ満載はくどいというか疲れます。

(感想はこちら↓)

mishimashikahika.hatenablog.com

 

 

 

 

 

芝居過多になりがちなフィガロ君のお歌「Largo al factotum」はものすごくシンプルに歌ってらした。歌だけで勝負できる曲だったとは思いませんでした。無駄に動くイメージがある曲だから驚きです。「Figaro su Figaro giù」の上を指し下を差しなんてやらない。全てを完璧な歌唱で流す。流れているのでなく流している。作戦?戦略?だね。ちょっとカルチャーショック(?)。必要最低限のお芝居と安定した歌唱とオーケストラがあればそれで良いということですね。勉強になります。このシーンはフィガロ君がオーケストラピットから登場し、歌い始める演出でした。因みに指揮者は舞台に出てきてからオーケストラピットに入っていった。舞台とオーケストラピットが小さい螺旋階段で繋がっていました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

レチタティーヴォが長い(多い)オペラはどのようにレチタティーヴォを処理するのかが全体の完成度に大きく影響を与えると思います。セリフに当たる部分なので、棒読みにならず、そしてお芝居をすることが求められると思います。でも1つ1つのレチタティーヴォに動作をつけすぎると芝居というより振り付けになってしまいますよね。そして物語が進む部分なのに、やることが多いせいで物語が停滞します。特にネイティブではない(本公演が全員ネイティブだったらごめん)歌手こそ慎重に扱わなければならないです。ネイティブだったら言葉の通り芝居すればいいからハードルが下がる。

 

 

 

 

本公演は、楽譜に書いてある通りのようなレチタティーヴォの処理。必要以上にレチタティーヴォレチタティーヴォの間を開けすぎなければ、チェンバロも遊んだりしない。かといって棒読みではない。振付に見える部分もなく、キャラクターその場で思ったことを話しているような自然なレチタティーヴォだった(発音を除く)。会話と考えた場合でもテンポよく、間延びせずに処理していた。こういうレチタティーヴォが好きです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

セットが面白い

舞台の上に舞台と楽屋がある設定の舞台セットで開演前に幕が開いており、メイクしたり掃除したりしている人がいて(もちろん演者)裏側を見ているような気分。楽しかった。終幕のフィナーレが楽屋で打ち上げしている演出になっていた。裏方(もちろん演者)がぞろぞろ出てきてハグしたり会話したりお酒飲んだりしていて楽しそうだった。面白い演出だったけれどわからないことあるから調べてみよう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

歌は安定

フィガロ君とロジーナちゃんはとても安定していた。特にフィガロ君は余裕を感じる上手さ。やることが多い役なので、歌が疎かになってしまう心配があると思いますが、こちらのフィガロ君は全く問題なし。見せ場である「Largo al factotum」は多分7000回くらい歌ってきている。ちなみに私の「Largo al factotum」の初見(初聴?)はトムとジェリーのトムです。ロジーナちゃんは声は小さめだったがアジリタはとても綺麗。声が広がり気味の中、正確なアジリタができるのはちょっと意味がわからない。過度なお芝居はないけれど、コロコロ変わるロジーナちゃんの表情がとても可愛かった。後、この2人が終始仲良しで癒された。可愛い。

 

 

 

 

 

 

伯爵は気になるところが多かったかなあ。高音に行くと声が後ろに引っ込みがちになる。アジリタのときにロジーナちゃん同様、声が広がるのでちょっとストレスだった。でも甘い甘い良い声をお持ちである。酔っ払いながら歌うところの高音がストレスフリーでとてもよく抜けた音だった。全く無理のない高音。素晴らしい。「L'amoroso e sincero Lindoro〜」のところで伯爵がフラメンコ風に歌ってしまい、指揮者に止められて「これロッシーニだから(ロシア語)。」と指揮者に言われる部分が面白くて笑った。オペラ中の小ネタって「笑らなきゃ!」と意識してしまい半分合わせで笑うときが多いのですが、この小ネタは心から笑った。ノリノリの伯爵が指揮者に止められたときの顔も良かった。「えっ?」みたいな。フラメンコ風ではなく普通に歌い終え、その後指揮者に「どうもありがとう(ロシア語)。」と言われるのも笑う。ちなみにギタリストはステージ上にいる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

バレリーナがちょいちょい出てきて踊るの本当にずるいよね。絶対上手いんだから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ということで、私のロシアの劇場紀行の終了です。

感想を書いてないものを含めて9回劇場に行きジャンルを問わずに5つの演目を観ました。

素敵な時間と空間をありがとうございました。

次もたくさんの素敵な公演・歌手・役者に出会えますように。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ではまた劇場で。