三島の見解

古の女子高生

【オペラ】トスカ(ローマ歌劇場来日公演)

2023年9月21日(水)15:00公演

東京文化会館 大ホール

2023年日本公演 ローマ歌劇場

ジャコモ・プッチーニ作曲

トスカ

 



 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

お世話になっております。

三島でございます。

 

 

 

 

 

 

 

 

この日は13日(水)に引き続きローマ歌劇場の日本公演に行って参りました。

演目は変わりトスカです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

トスカには昨年来日コンサートをしてくださったソニア・ヨンチェヴァさん(以下敬称略)、カヴァラドッシにはオペラ界のアイドル的存在(?)であり、最強売れっ子テノールのヴィットリオ・グリゴーロさん(以下敬称略)がキャスティングされ向かうところ敵なしの来日でございます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

グリゴーロが初日(横浜)前にNBS公式のインスタグラムにてご挨拶をされているときに「あなたのカヴァラドッシになります。」と仰っていましたが、最強に意味不明です。「あなたの恋人になりますよ!」ってことですかね?最高にキラキラしてるなこの男。そこらへんのテノール(そこらへんにテノールはいない)がそんなこと言ったらみんなスマホの画面割っちゃうから。あなただから許されるって自覚してほしい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

トスカを作曲したのはみんな大好きプッチーニ先生でございます。壮大でわかりやすく、有無を言わせない厚強めな音楽は素晴らしいです。スーパー情緒不安定なトスカさんに対しても涙を流すことを禁じ得ないです。脱獄者そっちのけで繰り広げられる物語に脱獄者のアンジェロッティも「俺は?」と思っていることでしょう。せっかく(せっかく?)逃げ出してきたのに物語では隅に追いやられているし、なんならいつの間にか死んでいるのだから。平凡な頭の持ち主であればアンジェロッティを中心に物語を進めていきそうですが、全く(でもなけれど)関係のない2人を死に追いやるという物語を展開するこのオペラは台本(原作)からして非凡ですね。全員可哀想な展開ですが。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

では感想いってみよー。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

大大大満足

楽しかった。これはもうアトラクション。体験型オペラ。

 

 

 

 

 

 

物凄くクオリティの高いオペラ公演でした。感想が言えない。凄かった!で片付いてしまう。会場を出てから上野駅を見て「ここ日本か。」と思いました。日本だった。忘れた。いや、申し訳ない。日本のそのあたりやこのあたりの公演との圧倒的な差を感じた。誰が追いつける?このクオリティを日本人だけでつくれる?悔しいね。みんなも悔しいって思って。

 

 

 

 

 

 

 

イタリアの歌劇場がイタリア語でイタリアが舞台のオペラを上演したときの脅威的な強さを思い知りました。その国のオペラはその国に任せておけ理論の勝利です。(歌手がイタリア人だけでないことはおいておく。)

 

 

 

 

 

 

 

 

上にも書いた通り、プッチーニ先生のオペラは壮大で圧が強いなあと思っています。でもそれは今まで劇場でフォルテ!フォルテ!フォルテ!で演奏する公演に出会う機会しかなかったがためで、こんなにも繊細で苦しい音楽が存在したのだなあとこの日痛感しました。私は今まで何を聴いていたのでしょうね??プッチーニ先生まじごめんね。いつかお墓まで行ってご挨拶させてね。だからお墓の場所教えてね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

では各々の感想。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

オーケストラさまさま

プッチーニ先生の音楽を派手一辺倒にならずに演奏できるものなのか!力技で解決させない演奏に驚いたし感謝しているし感動している。椿姫を観劇したときも思いましたが、場面ごとに立場を弁えた演奏をされますね。出るところは出る、出過ぎてはいけないところは慎ましやかにといったようにとりあえず元気!な演奏はしない。プッチーニ先生の音楽が繊細ではないなんて思ってないし言いませんが、演奏をするときに繊細さを譜面から劇場へ広げることができるものなのだなあと。素晴らしいです。

 

 

 

 

 

 

 

椿姫の感想と同じような書き方をします。

特に気に入ったところ3つ。

3つ全て3幕から選ばれました。

クライマックスにテンション合わせるの上手だな。

 

 

 

 

 

 

①3幕前奏曲 星は光ぬ匂わせ部分の低音

低音の広がりが絶望的に深くこちらまで沈んでしまいそうだった。深く黒い空間が広がっていくような音色。苦しくなった。メロディラインだけを広いがちな部分に重みを出す低音が美しくも残酷だなあと思いました。心臓に悪いです。つまり最高です。

 

 

 

 

 

 

②3幕トスカ入場の音楽

3幕に似合わない華やかでキラキラしている音楽がトスカを表しているのでしょう。想像以上に華やかに演奏するので場面との対比で本当に苦しい。妖精が登場しそうなレベルだった。このままハッピーエンドか?と思わせる。思わせぶりだ。だってこの後死ぬじゃんか。トスカとカヴァラドッシだけでなく劇場全体を絶望させることに優れている演奏だった。

 

 

 

 

 

 

③3幕カヴァラドッシ処刑後の音楽

重い。響きが重い。もちろん良い意味です。遺体を引き摺りながら歩いているような演奏(どんな?)。淡々とした演奏の中に重みを感じるとこんなにも苦しくなるのだな。死んじゃったんだなカヴァラドッシ。

 

 

 

 

 

 

 

以上です。カヴァラドッシが裏で縄で吊るされているであろう場面でスカルピアとトスカの会話をオーケストラが煽り、その煽りに2人がしっかり乗っかっていくことで、緊張感が更に増してとても好みだった。オーケストラと歌手が合わさった音楽は聴いていてドキドキするし楽しい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

舞台上が本物である

いや、偽物よ?でも本物感がすごい。

 

 

 

1幕の幕が開き美しく安っぽさがない舞台上に圧倒された。そして感動した。今日は教会に来たんだったなと思ってしまいたいくらいのクオリティ。いいなあ。お金かかってそう。舞台上に隙がなく端から端まで美しい(隙間はあるよ)。1幕幕切れ前にどんどん人が増え、相当な人数が舞台上にいるのに人が多いだけにならず絵的に美しくなっていた。2幕以降の救いようのない展開を無視したゴージャスさが頭に残った。

 

 

 

 

 

2幕のスカルピアの部屋は普通だけれど舞台後方に設置した人が出入りする扉が見やすく舞台セットに邪魔されずに色々観ることができるつくりはありがたかった。椿姫の舞台セットは見栄えはいいのだけれど1幕の大階段は席によっては邪魔になっていたのかな?2幕と3幕は広々空間だったけれど。スカルピアを殺すナイフが置いてある位置もわかりやすく見やすいところにあり、見つける→掴むの動作がよく見えた。台本に指示がある動作はよく見えたほうがありがたい。まあまあ広い部屋なのにご飯用のテーブルとベッドが近いなあって。それ1Kの家具配置じゃね?と思った。てかベッド小さくない?仮眠用ですか?

 

 

 

 

 

 

3幕は真ん中に剣を納めるミカエル像(正式名称?)を配置。照明の当たり具合か席位置の関係かわからないけれど、下に向けている刃だけが目立ち3幕の展開も相まって不気味だった。天使に不気味とか言っていいのかな?だめだな。終始暗いですが、歌手の顔はよく観ることができ照明効果が上手なのかなあと思いました。新国さんとか真っ暗だと全部真っ暗だからな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

トスカさん

ヨンチェヴァ美しい!!!

 

 

 

グリゴーロと比べて影のある声がトスカの美しさを引き立てる。影と深みのある声が私好みです。ありがとうございます。でも写真集高いっす。1幕の水色を基調としたドレスも2幕・3幕の赤いドレスも似合っていました。

 

 

 

 

 

 

 

 

全幕を通してグリゴーロ演じるカヴァラドッシと噛み合っていないような気がしましたが、2人でデレデレするのではなくトスカ単体のキャラクター性を全面に出すために生じた噛み合わなさかなあと思いました。カヴァラドッシは出過ぎずにタイトルロールに重きを置いているのだなと。3幕のオーケストラが消えて2人だけで歌う部分(「Trionfal〜」)はもう少し調和を意識した方が綺麗じゃないかなと思いましたが。演技はともかく音楽的にはもの足りなさがあった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

お歌に関してはこの日も流行りのイタリア語不在歌唱でした。流行っているねー。トスカだしヨンチェヴァはイタリア人じゃないのでイタリア語は求めていない。イタリア語の発音はグリゴーロに頑張ってもらいましょう。言葉の発音がぼやけているということは、母音に左右されずに歌えるということです(絶対ではないけれど)。口の中が狭くなったように感じることはなかったです。圧倒されすぎてそれどころではなかったので気づかなかっただけかもしれませんが。いつ息を吸っているのかもわかりづらく、フレーズのラインが綺麗でした。それよりも吐き出すように歌った(言った)後、普段通りの歌い方に戻すのが大変だろうなあと思いました。

 

 

 

 

 

 

 

2幕のスカルピアとの会話で「nulla sfugge ai delosi. Solo!Solo!」の2回目の「solo!」がキンキン気味だったのは気になった。そもそも「solo!」の母音が自由で「sola!」に聴こえてしまった。カヴァラドッシの唐突な性転換?スカルピアの前で堂々と振る舞うトスカが強くてかっこよかったし、自分の手で刺し殺すことになる結果にも無理がなくて綺麗に繋がりますね。刺しても死なないであろうナイフには触れないでおく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

トスカのお歌「Vissi d’arte,vissi d’amore〜(歌に生き、恋に生き〜)」は寝起きで歌えるでしょう。半寝で100%のパフォーマンスができるかもしれない。それくらいの余裕を感じました。このお歌の歌詞に出てくるオペラでは描かれていない部分を汲み取ることができる深みのある歌い方で、トスカの今までの人生を1曲で理解させるヨンチェヴァのお歌作りに感服しました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

吐き捨てるような歌い方(言い方)は印象に残りますね。やりすぎNGを突きつける人もいそうですしその気持ちはわかりますが私は大好きです。2幕のカヴァラドッシの居場所を言ってしまう「Nel pozzo nel giardino」は地面に向けて言うような、言ってはいけないとわかっているけど言ってしまう感じと絞り出すわけではなくあくまでトスカ本人の意思で発言しているのがよくわかった。カヴァラドッシが勝利にはしゃぎ過ぎちゃって連れていかれた後のスカルピアとの会話の中の「Quando?」「Il prezzo!」は全力賄賂です。極め付けはスカルピアを刺した後の「Questo è bacio di Tosca!」ですよ。身体中からの怒りと人を刺しちゃうほど追い詰められた精神状態が爆発したような吐き捨て具合。本当にカッコ良かったです。ただ、「Questo è bacio di Tosca!」の後から「Muori dannato!〜」の間が全く聞こえなかったのが惜しかったですね。発声のポディション落としすぎて戻ってこれなくなったのかなあと。ここ以外の切り替えは綺麗だったのですが、怒り爆発と同時に発声も爆発したのかもしれない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

3幕最後のフレーズ「O Scarpia,avanti a Dio!」が、スカルピアの後何て言ったか本当に聞き取れなかったのが残念。スカルピアが?どうした?と。まあ字幕あるけれど。最後くらい発音をお願いしたい。と思ったけれどだいぶ高音域だな最後の音(想像するよりも高い方のシ♭)。死ぬ間際にカヴァラドッシへの愛ではなく、スカルピアに宣戦布告をする強さかっこいいよね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

1幕の退場間際に「Ma falle gli occhi neri!(彼女を黒目にしてくださいね!)」と歌いながらカヴァラドッシって向かって絵筆をふわふわと振るのがめちゃくちゃ可愛かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ヨンチェヴァのおかげでトスカの人物像が深まった。

オペラの登場人物のお気に入りの女が増えていくー。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

グリゴーロ特集は別更新します。

ではまた、劇場で。