三島の見解

古の女子高生

【バレエ】ジゼル(マリインスキーバレエ)

2023年1月31日(火) 19:00公演

マリインスキー劇場

ジゼル

 

 

 

 

お世話になっております。

三島でございます。

 

 

 

 

 

 

 

この日はひさしぶりのジゼル。

 

コロナじわじわ期のパリ・オペラ座バレエ来日公演ぶりです。懐かしい。「こんな時に公演してくれてありがとう!」感万歳のスタンディングオベーションを鮮明に覚えている。マスク着用は必須だったっけ。入口でマスク配っていたような。

 

 

 

 

 

 

ロシアのバレエ団の公演を観劇するのは久しぶりです。2019年ぶり?来日公演はしばらく期待きないのでこの機会に観ることができて嬉しい。そして久しぶりの観劇がジゼルでとても嬉しい。

 

ジゼルは大好きなバレエ作品の一つで、衣装も音楽も踊りもストーリーも全部が好きです。セットのお金のかからない感じも好きです。ジゼルの家の中がどうなっているか気になります。1幕のジゼルの衣装が何色かに注目しています。

 

 

 

 

 

 

好きな作品なので観る機会を逃したくないと思っていますが、好きな作品だからこそ慎重になってしまうのが本音ですね。好きな作品で絶望したくないじゃん?今日も元気に新国オネーギンを思い出しましょう。オペラだとまだネタにできる(するな)ときもあるけれど、バレエはショックを受けてしまうかもしれません。オペラもショックだけれどね?耐性ついてきたよね。何?荒治療?修行?苦行?

 

 

 

 

そういうこと(?)なので直近だと新国ジゼルは見送りました。というか悩んでいるうちに終わっていました。次は東京バレエ団の公演かな?「是非観たい」と「やっぱり観たくない」を彷徨っております。私がスーパー超大金持ちだったらとりあえずチケット買うんだけど。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

30日に引き続きマリインスキー劇場。同じ劇場で日を空けずに違う演目が上演できるものなのですね。ジゼルの舞台装置はシンプルですが、前日のパルジファルを片付けるのは大変だろうに。ステージごと回るのか?それより劇場の稼働率が羨ましい。

 

 

ジゼルは休憩含めて21時30分ごろには終演。なんて良心的なんだ。

ああ、ワーグナー先生。5時間30分とは何なのか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ではでは感想いってみよー。

 

 

 

 

 

 

 

徹底した無機質さ

舞台上に生活感がない。どこかの何かのオペラ歌手のせいで舞台上に生活感がないことに感動する。当たり前であってほしいのですが。無機質は「命が感じられない」という意味だそうです。1幕はみんな生きているので語弊が生まれてしまいますね。2幕はほぼ全員死人(言い方)だから良いよね。生命力が感じられないというのは本音。悪い意味ではなくて。舞台上でジゼルもアルブレヒトもママも友達ズも生きているけれど、どこか遠い。作品の中で生きているバレリーナとそれを観ている私たち。舞台と客席の間に境界線が存在する。もしかしたら舞台にいるバレリーナは存在しないのかもしれないと思ってしまうような美しさと完璧な作品の世界がある。恐ろしいほどの美しさであった。

 

 

 

 

過度なお芝居表現や演出効果がなく、とてもシンプルな公演だった。それが良い悪いは好みだろうし、その判断をする気はないです。別に判断するに値する人間でもないです。良い悪いではなく、華美な装飾をつけずに、無駄に芝居をせずに、観客を満足させることのできる実力が素晴らしい。芝居要素に頼りすぎず、1つ1つの踊りを完璧にこなすことで作品の完成度を高める。バレリーナとして、バレエ作品として何が本当に必要なのかを突き詰めていった結果の公演を観た気持ちになった。バレエにおいて芝居要素が必要なのか?と考えさせられた。

 

 

 

 

 

 

 

 

芝居をせずに芝居をする

ストーリーがある以上、お芝居は必要なのですが、この公演を観て、アルブレヒトがジゼルのことがどれくらい好きなのか?ジゼルのお母さんはジゼルが死んだときにアルブレヒトに対してどう思ったのか?といったような国語の文章読んだ後に解く問題文みたいなことがどうでもよくなった。

 

 

 

感情が常に踊りの後ろにいるように感じた。なんと言えばいいのか?ただ踊っているだけではない。登場人物たちの感情はわかるし、ストーリーがなくなってしまっているわけではない。しかし、過度な表現はない。リアクションが大きくないからそう感じるのか。花占いをしているジゼルやヒラリオンが「怒!」となっているところなど、喜怒哀楽がはっきりするところの味付けが本当にシンプル。あくまで音楽と振りの中に組み込まれていて、それ以上も以下でもないといったところだろうか?パリオペのいちゃいちゃべたべたなお芝居も大好きだけれど、この公演を観て、それが全てではないし、そんなところ(失礼)に注目を集めなくても魅せることができると気づいた。そして自分の好みでもあった。

 

 

 

 

 

 

 

 

全員が華やかだから

オニールさんがオディール(とオデット)を踊った東京バレエ団白鳥の湖で感じたような「圧倒的主役」感は誰にもない。全員が華やかだから誰か1人が眩しくてしょうがないようなことはない。とても贅沢なことだね。

 

 

 

 

 

 

 

 

フライングジゼル

2幕でミルタとジゼルがフライングしていた。人形ですけどね。これはちょっとダサいおもしろかった。白い布や光などそれっぽいものではなくそれなりに「人」である。だからこそ不自然。いや、面白いけど。ジゼル(本物)が上手に捌けたら、ジゼル(人形)がフライングで上手から下手へ。そしてたジゼル(本物)が下手から出てくる。フライング演出のために裏で上手下手を移動するジゼルとミルタを想像すると面白い。マリインスキー劇場のステージ裏がどのようになっているか知らないけれど、ステージの大きさ考えるとまあまあな距離?移動用に特別ルートがあるのかな?今思い出してもシュールで笑える。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

目に見えて空中滞在時間が長い

妖精じゃないウィリたちが時々存在しますよね(いきなりのディス)。重力に負ける系妖精。細いのに重い妖精たち。ドスンドスンと着地するウィリたち。羽があるのに飛べない妖精たち。そういうのが一切なかったですね。アルブレヒトが重めだったけれど男性だしそもそも妖精じゃないから別にOK。

 

 

 

 

 

ジゼルやミルタそしてウィリの皆さんの重力のなさが素晴らしかった。軽い。こちらが頑張って飛んでいるように観なくても空中にいる時間が長い。(普段、こちらが頑張って良いように観ることとか聴くこととか多くないですか?上手く聴こえるように客が頑張っている。)着地の音の静かさよ!パリオペはなんであんなにドコドコ踊っていたのか?東京文化会館の床のせい?

 

 

 

 

 

まあ、もちろん無音ではないです。そりゃ無理ですよ。あの人たちも多分人間です。多分。けれどドコドコやドスンドスンはしない。軽く降りてくる。ジゼルもミルタもウィリたちも全員ふわふわしている。2幕のウィリたちのアラベスク地獄も静か。というか地獄感がない。「普段アラベスクで移動していますけど?」というような余裕さ。アラベスク地獄を応援しなかったの初めてかもしれない。いつも「頑張れ!頑張れ!」と勝手に応援しますが、この公演のウィリたちは余裕すぎて応援できない。する必要もない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

オーケストラの存在

バレエの演奏に関しては「オーケストラが演奏していることを忘れる」ことが1番いい演奏だと思っています。蔑ろにしているわけではありません。上手いからこそ存在を忘れてしまう。音楽がきちんと当たり前に素晴らしく演奏されている状態であった。贅沢。マリインスキー劇場はオーケストラがほぼ安定していて恐ろしいです。貴族の登場のテーマソング(?)のホルンが最初だけ若干不安定でしたが、それ以外は何も気にならず。前日のパルジファルのときにも思ったが、主旋律の後ろで何が演奏されているかがわかりやすい。主旋律とその他ではなく、主旋律以外の旋律が独立した上で混ざり合っている。どの楽器が何を演奏しているかがわかりやすい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ジゼルちゃん

みなさん、ジゼルの病弱の演技ってどうされています?唐突に虚弱体質アピールします?この公演のジゼルは発作的な病弱演技ではなく、「いつも体調悪いけど我慢していて時々人にわかるレベルで具合が悪くなる」ような演技でした。みんなと踊っている時に具合が悪くなるところですが、よく観るのは、「突然心臓が痛みだし、ちょっと休憩してから踊りに戻る。」というのですが、このジゼルは踊りの流れを止めないかたちでこのシーン(振り)に入る。ヌメっ(言い方)と芝居に入る。誇張表現しないお芝居。「心臓が!痛いんです!」と始まるのもわかりやすくていいけれど、流れの中で具合が悪くなる芝居をした方が綺麗な気もする。

 

 

 

 

 

そしてみんな大好き狂乱の場です。髪を解くところを見るのが好きなのですが、この日は違うところを観ていたため見逃しました。多分アルブレヒトの顔を観ていた。狂乱の場の初めは、そこまで変化がないようにみせて、旋律が変わる(デッデッデッデッってところ)ところで一気に切り替える。切り替えるのはスタンダードだと思いますが、平常時と狂乱の場の切り替え前の差がほとんどないので、切り替え後がよりはっきりする。1回だけ剣から手を離してしまったけどすぐ持った。照明効果もそんなになかったな。息絶えた後に床に落ちるとき、腕がスローモーションだったのが謎。あそこは「ぱたっ。」といってほしい。

 

 

 

 

 

終始綺麗なジゼルだった。

この日が初ジゼルらしい。本当か?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アルブレヒト

唯一、ジャンプの着地の音が気になった人だけれど、その分飛んでいるのだからしょうがないよね。パリオバレリーナのアルブレヒトたち(たち?)に比べるとスッキリしている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ヒラリオン

アルブレヒトの正体を暴きましたが、あなたこそどこかの王子様なのでは?と聞きたくなるくらい品の良いヒラリオン。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ミルタ

中間管理職。1番上というよりかはまだ上に人(妖精か?)がいて束ねている感じのミルタ。女王ではない。ちなみに頭は花飾りでティアラではない。アルブレヒトやヒラリオンの願いを拒否する振りも滑らかで、クールな感じだった。体の作りが大きめな方なのかな(太っているわけではない)。そこがミルタの強さを強調して素敵だった。踊りに関しては隙がない。登場からすぐのパ・ドゥ・ブレが細かすぎて頭がパニックになった。パ・ドゥ・ブレをそんなに細かく踏めるのか。美しすぎた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

以上。

美しいものや価値のあるものにお金を払えるって幸せだよね。

 

 

 

 

 

 

 

 

ジゼル好きだー。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ではまた劇場で。