三島の見解

古の女子高生

【オペラ演奏会形式】サロメ(神奈川フィルハーモニー管弦楽団)

 

2023年6月25日(土)17:00公演

神奈川フィルハーモニー管弦楽団

横浜みなとみらいホール 大ホール

演奏会形式

リヒャルト・シュトラウス作曲

サロメ



 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

お世話になっております。

三島でございます。

 

 

 

 

 

 

 

4月5月とシュトラウス(以下シュトラウスおじいちゃん)のオペラ観劇(演奏会形式含む)の機会に恵まれました。5月に高品質のエレクトラ、6月に新国立劇場サロメ、そして本公演とシュトラウスおじいちゃん充でございました。ありがとうございました。平和の日もあったね。忘れた。

 

 

 

今後のシュトラウスおじいちゃんの予定がない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

みなとみらいといえばピカチュウが大量発生するイベントのイメージです。スヌーピーも吊るされてます。

 

 

 

 

 

 

 

 

演奏会に行くために訪れる場所ではなかったので新鮮でした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

会場に着いてびっくり。福井敬さん出演できずとのこと。

福井さんのヘロデは大変に興味深かったです。残念。また聴きたいとは思わないけど。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

サロメは休憩なし1時間45分公演です。私はこの時間をとても短いと感じるのですが、休憩なしで約2時間は長いと言っている方もいらっしゃいまして、時間の感覚って人それぞれだなあと思いました。1時間45分で上演できる作品に30分の休憩を入れて2時間超えたら私は逆に長いなと感じます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

では感想いってみよー。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

フィガロの結婚

私はシュトラウスおじいちゃんが作曲したサロメを観に行ったはずなのにお芝居がフィガロの結婚っぽいのだ。サロメが伯爵夫人でヨカナーンがアルマヴィーヴァ伯爵。あれ?夫婦?音を消して本公演を観たらサロメだとはわからないだろう。オーケストラの編成で気づくか。そもそもオペラを音消して観ることはあるのか。夫婦役かと思うくらい2人の距離が近い。もっと無機質でいいのにしっかり会話する。サロメとヨカナーンが見つめ合うことが多く実は思い合っているのではと思わせる。サロメの恋叶うのでは?と思わせる。話変わるわ。突然のハッピーエンド。モーツァルト先生に無駄に明るいフィナーレを作曲してもらおう。

 

 

 

 

 

 

 

片方が歌うときに、必ずもう片方が少し前に出て斜めに構えるのなんとかしてほしい。一気に安っぽくなります。話を聞く姿勢をとることの大切さですかね。斜めに構える理由は、例えばヨカナーンサロメに対して歌っていたとしたら、サロメが真横にいると真横を向いて歌うかたちになってしまい声が前に飛ばない。でも、サロメを見ないで歌うと誰に歌っているのかわからないよね。ということでサロメがヨカナーンよりも前に出て斜めに構えることによってヨカナーンは客席に対して歌えるし、サロメに歌っているようにもわかるよね。ということらしいです。ちなみに斜めに構える理由は客席にお尻を向けるのはNGだからだそうです。でもこの位置で歌うことを決めきってしまうと、お芝居として動いているというより場所取りをしている人になってしまう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

小姓もケルビーノが出張してきた感満載でした。山下さんは日生劇場セビリアの理髪師のロジーナ役で観ていてます。よく転がる声をお持ちです。小姓役だと良さが伝わりにくい。登場時間は少ないですが、登場時間中全てにおいて歌う姿勢が気になった。常に会釈のような角度の姿勢で歌う。ドレスを着ていれば膨らみでわかりにくいが、ズボン役(女性オペラ歌手が男を演じる時に使う言葉)だと膨らみがないから不自然に感じてしまう。多少体を折って歌った方が、腹筋に力を入れやすく良い声が出るのだと思いますが、舞台上でわかりやすくやられると違和感。

 

 

 

 

 

 

 

今日もベルカントの王子様(小堀さん)がいました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ナラボートくん

ナラボートくんはヘロデ一家に次ぐ役じゃないですか。しかしユダヤ人①と同等に感じることが多い。つまりモブっぽさが抜けないということです。

 

 

 

 

 

 

本公演のナラボートくんは清水さんです。覚えています。新国ボリスくんの最大にして唯一の良心(?)聖愚者の声の方です。「声」の方です。

 

 

 

 

 

 

 

清水さんは本公演でも上手だった。まろやかではあるけれどぼやけない声がとても良い。力任せに歌うテノールが多いなか柔らかさと強さを両立することができる声は貴重です。ヘロデ一家に埋もれてしまいそうなナラボートくんの存在感を高めることができる声。前半で死んじゃうのがもったいない。ストレスを感じることは一瞬もなく、ドイツ語の発音も一番綺麗でした。特にサロメの名前を歌うときの「me」の「e」の音の処理が綺麗だった。音は潰れず発音は正確にといった感じですね。ありがとうございます。そのままヘロデも歌えばいいよね。同じテノールだしね(無茶振り)。

 

 

 

 

声のみのご出演→演奏会形式ときたので次はオペラ上演としての公演で出会えるように期待します。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

オーケストラ

品の良さがある。もっと振り回してほしい気持ちはあるが丁寧さと歌手を立てている、歌手のことを考えているような演奏だった。お歌がかき消されることがほぼなかったです。やたらティンパニーの音が主張強めだったけど座った位置の関係でしょうか?ティンパニー好きだから嬉しい。「7つのヴェールの踊り」も素晴らしかったですが、そこからフィナーレまでのボルテージの上がり具合もよかったです。ただ、ヨカナーン退場からヘロデ入場までの間の静かになる部分や首切りの音楽など静かになったときの糸が張り切らない感じが惜しい。終幕前のサロメ大満足音楽が遮断されヘロデのお歌(というかセリフ?)に繋がるところも、もっと思い切り切り替えて欲しかった。美しいところは吐き気がするほど美しく演奏してほしい。でも全体的には満足です。新国サロメより上手いのでは?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

サロメ

お歌だけに関していえば、まずまずだったと思う。ワーグナー先生をレパートリーにお持ちなだけある声の強さとそれを終幕まで維持できる喉の強さ。歌自体にまとまりがあり、とっ散らかる感じはなかったです。

 

 

 

 

 

 

登場から少ししたところの「Wie gut ist's, in den Mond zu sehn!」の「sehn!」の音がつまる。上にいく音型のとき、つまるときはわかりやすくつまるのですが、上手くいくときはとても綺麗で差が激しかった。「Ich fordre den kopf des Jochanaan.」の投げやり具合が怖かった。「cha」の発音で声が広がりすぎてしまって音を吐いているように感じました。そのまま歌えることはすごいのですが。この「首をくれ。」と何回も歌うところはもっと強さと集中力がほしいですね。敢えて弱く歌っているのかなあとも思いましたが、譜面上に「stark(強い)」とあるのです。守ろうシュトラウスおじいちゃんの意志。強く歌わないとヘロデが困るわけじゃん。強さがないとヘロデが永遠に代替え案を出さなきゃいけないからね。7つのヴェールの踊りのすぐ後の「süß(甘い)」の指示がある「Ich möchte,dass sie mir gleich〜(今すぐほしい〜)」はとてもよかったです。甘く柔なく歌いながらもサロメの狂気を醸し出すことができていて好みだった。

 

 

 

 

 

 

 

やっぱりサロメは難しい。聴いて難しさを感じ楽譜を見て難しさを感じまた聴いて難しさを感じる。本当に重労働ですよね。お疲れ様でございました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

カナーン

本公演の表記はヨハナーンではなくヨカナーンです。せっかくヨハナーンで覚えたのにまたヨカナーンに直さなきゃいけないのよ。ヨカナーンは地下にいる場面はP席から歌い、地上に出ている場面では舞台上で歌っていました。東京交響楽団サロメと一緒です。

 

 

 

 

 

 

お歌は声が広がってました。ほわほわしていて迫力がないです。地底からこんにちは!と言わんばかりの深い声がほしい。サロメが興味を示さなそうです。声を聞いてもヨカナーンだと思わなくて、P席の方に視線を向けたら歌っている人がいました。ヨカナーンでした。高音域は天井が低く窮屈な音でした。私の大好きな「Niemals,Tochter Babylons〜」のセリフっぽくなる部分は単語を言い終える度に音が地面に落下してしまっていた。歌うときに視線が下がっていたような気がするのでそのせいかもですね。とても人間っぽいヨカナーンでした。預言者設定はどこへ。お歌に説得力がほしかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

代役ヘロデ

代役というものは歌い切るだけで評価が上がるものです。代役と紹介されたら後に、フラットに観る・聴くことができる人は少ない気がします。

 

 

 

 

 

 

 

 

譜面台ありの楽譜見ながらの出演でした。ヘロデなんて譜面見て歌う方がしんどいだろうによく出演してくれたなという気持ちです。譜面を見ながら歌うことので芝居に制限がかかったのはよかったと思います。入場や退場の仕方を見るに本公演のヘロデもただのおじさんになりそうだったので、舞台中央に座り譜面台から離れないことが王への近道になっていました。お歌は想像以上にいい声でちゃんとヘロデでした。声が強く張りがある。しかし無理に強い声を作っているようには感じなかった。高音域も中音域と同じくらいの強さで歌うことができる。強く歌うからといって力任せにならないので普通に上手い。このレベルのヘロデに突然出会えたことに感謝です。「普通に上手い」がどれだけ大変なことか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そんな感じでした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ではまた劇場で。