三島の見解

古の女子高生

その2【オペラ】ファウスト(藤原歌劇団)

2024年1月27日(土)14:00公演

東京文化会館大ホール

藤原歌劇団公演

シャルル・グノー作曲

ファウスト

お世話になっております。

三島でございます。

 

 

 

藤原歌劇団公演のファウストの感想その2です。

 

 

 

昨年の「二人のフォスカリ」の際に土曜日公演の方が好評だったので今回は土曜日に観劇してみましたが、効果なしでした。土曜日は安定キャスト、日曜日は挑戦キャストと聞いたのですが。グーグル先生に。ダブルキャストだと両方観たくなるものですが、この公演に関しては私のメンタルが心配なので二日間は無理ですね。

 

 

 

藤原歌劇団唯一の良いところは開演前と終演後に総監督がロビーでご挨拶しているところです。関係者だけでなく、私のようなパンピーにも「いらっしゃいませ。」「ありがとうございました。」と挨拶をしてくれます。この部分は推せます。

 

 

 

昨日の投稿で「若い男女ではなく妙齢の〜」と書いてしまいました。同じことを書きました。失礼いたしました。修正済です。本当は「初老」と書いたかったのですが我慢しました。

 

 

 

 

では感想の続きにいってみよー。

 

 

 

 

マルグリート

ビブラートが多いです。ずっとビブラートがくっついてくる。細かい音符以外はビブラートになってしまう。声が保てなくなってきているのかな?効果的ではないビブラートはこちらの心労になります。次に高音が悲鳴です。ほぼ全て悲鳴であり絶叫である。何を叫んでいるのか、と思ったらお歌でした。ああ、そこは音符なんですね、と頭をの中での確認作業をしておりました。

 

 

 

「トゥレの王」から「宝石の歌」が大好きなんですけれども、こんなにもつまらなく歌えるものなのだな、とある意味新しい発見に感動しました。こんなに可愛い曲をこんなにも普通に歌ってしまうなんて。歌詞に何個「!」がついているのでしょうか。1人でキャッキャしている可愛いマルグリートちゃんをください。

 

 

 

 

「トゥレの王」は出だしの声から響かないので聞き取り辛い。いつ歌い始めたのか分かりにくい。暗くつくりながら歌っているように聞こえ、間に挟むセリフのような部分との対比を表したかったのかもしれませんが、セリフも暗い。一応お歌とセリフの区別はつきましたがもう少しわかりやすくお願い致します。

 

 

 

その後の宝石発見する場面の

 

Ô Dieu! que de bijoux ! 〜

上記部分、全然驚いていないように見えました。このマルグリートちゃんは宝石をもらい慣れてるのかな?ご一緒のオーケストラの音が寂しかったことも関係しぬるっと始まりました。そこから「宝石の歌」に入る前までのセリフ部分はとりあえず歌っているように見えたし聞こえました。セリフ部分でお芝居しなくてどうするのでしょうか?

 

 

そして私のお気に入りである「宝石の歌」に突入。

 

Ah ! je ris de me voir〜

驚きの「Ah!」のはずですが、カスったような声に聞こえました。ため息っぽくしたかったのかなと考えることもできますが、技術的な問題で上がる音型に力尽きて最終音を上手に出せなかったに一票です。

 

 

Est-ce toi, Marguerite ?

この自問自答可愛いじゃん。なのにただ歌っているだけで寂しい。文章ごとに感情を乗せてほしいわけですよ。そんなあっさり味付けで歌わないでくれ。もしかして可愛く歌わない演出なのか?

 

 

C'est la fille d'un roi !

「fille」の部分の上がっていく音型は流れが滑らかで良かったです。

 

 

Ah!Comme une demoiselle Il me trouverait belle !

「Ah!」で上がっていくときに一音一音がしっかりはっきり階段になってしまって、ボコボコしていました。一個前の綺麗な流れはなんだったのかと思うくらい段差を感じました。その歌い方でよければ全員が明日からマルグリートよ?その後の文章は2回違う音型で繰り返しますが、同じ言葉を発音しているとは思えないくらい、1回目と2回目で声質が変わってしまいました。一音ごとに口から出る矢印の方向が変わるような印象を受けました。

 

 

Qu'on salue au passage !

最後です。この最後の高音は唯一悲鳴になりきれなかった高音でした。良かったです。喉にへばりついた高音ではあったけれどオペラな高音でした。この音符の上にはフェルマータがついております。しかし、この公演では3拍あったかもあやしいです。早めに切り上げた気がした。伸ばすものだと思っていたので3拍が異常に早く感じただけかもしれませんが。もしかしてフェルマータついてなかったか?

 

 

 

 

 

ファウストがとんでもない事故を起こしていたので彼女が上手に聞こえそうですが、ちょっと立ち止まってみました。本当は立ち止まらなくてもわかるレベルだけれど。「宝石の歌」が上記の通りだったのでそれ以降はマルグリートちゃんにはあまり注目せずに観てました。5幕の精神病んじゃったお芝居は上手でしたね。視線の使い方が特に上手。アイメイクにラメを使用しており、照明に当たって無駄にキラキラしてしまったのが気になります。狙いは何?反射で表情が見ずらいです。

 

 

メフィストフェレス

誰が一番マシだったかと聞かれたらこの方ですけど、あくまでマシであって良かったではありません。

 

 

唯一の外国人歌手でイタリアのご出身の方です。

 

 

2幕の「金の子牛の歌」は前奏の迫力に上手に乗っかりましたが、張り切りすぎな気もします。しっかり歌えることはいいことですが、もうちょっと落ち着いて歌ってほしい。自信満々な歌い方は慣れているのかこの歌がお気に入りかですね。私もメフィストフェレスのこのお歌が大好きなのでこれを上手に歌ってくれたことには大満足です。3幕以降、他の歌手の疲労が見え始め、ファウストが高音を失っても、メフィストフェレスだけは初登場時より上手になっていきました。疲れを感じさせずに歌ってくれることに感謝。メフィストフェレスまで声を失ったら誰が話を進めるんだよ。生き残ってくれてありがとう。

 

 

 

周りが周りだったので、相当上手に聞こえたような気もしますが、正直な話をすればそんなにお上手ではなかったです。声量と目力で解決しているように見せてましたが、喉から発せられる声が多く、また天井の低い声で音の伸びやかさがありません。年長者や技術者が支えてくれる公演に出演し余裕を持って舞台に臨むのが良いと思います。このぐだぐだな舞台を引っ張っていってくれてありがとう。仕事は選んでいいんだよ。

 

 

誰ですか?事前予習にディーマ(ディミトリー・ホロストフスキーさん)の音源を聴きまくっていた人は?そんなにハードルを上げてはいけません。

 

 

音楽の流れというものが皆無です。終始音と音の間が切れる。一回一回音が落ちる。高い音は数回ひっくり返りそうになる。危なっかしい。ブレスの位置がよくわかる。上手に吸えていない気がする。目が泳ぎっぱなしで視線が定まらないと上手に歌えないって本当なんだなあ、とお勉強した。どちらかというと死に際のお歌の方が上手でした。体を倒しながら歌っていた方が無駄に力まずに声でるもんね。ただ、とんでもない歌詞を歌っているのに対して棒読みだなあ、と。みんな棒読みだったから浮かないけれど。

 

 

マルトとシーベルとワグネル

マルトに関して、人種であーだこーだ言うと怒られちゃう可能性がありますが、日本人メゾソプラノは低音がこもる人が多いですよね。低音担当なのに一番しっかり聞こえなきゃいけない音が曇ります。こもります。口の奥の奥の奥の方で言葉をつくっているように感じました。モワモワしている。この方の良かった点は舞台映えする身長をお持ちの方でメフィストフェレスと並んだ時に子供っぽくみえないところですね。

 

 

 

シーベルの方はデスピーナちゃん(「コジ・ファン・トゥッテ」)を歌った時に聞いております。声飛ばし大会を行なっていたのなら優勝です。強めの声が勢いよく飛び出していくように聞こえ爽快感はありましたが発声方法がそれでいいのかは疑問です。力技なのが気になります。ズボン役ということとお持ちの声がよくあっていました。お歌もまとまってはいました。教科書に書いてあることはやっていると言ったところでしょうか。ただ、声の響きや広がりなどオペラ歌手に求めたいような技術は披露されず。良かった点を挙げるならお兄ちゃんがマルグリートの方へ行こうとするのを止めているときの表情ですかね。

 

 

 

ワグネルは分厚いフェイスシールドでもつけているのかと思うくらい声が遠い。以上。

 

 

 

 

以上です。S席定価17000円の公演です。恐ろしい。

 

 

 

私の席からはファウストに対してのブーイングは聞こえませんでしたが、他の方の感想を拝読しているとブーイングがあったそうです。なんでもかんでも拍手をする人ばかりではなくて安心します。ただ、ブラボーが聞こえたのも事実です。

 

 

 

日曜日(1/28)の公演がこの日より良いものであったことを祈ります。

恐ろしくて感想を読めない。

 

 

 

どうしましょう。ちゃんとしたのが見たいシリーズが溜まっていく。

 

 

終わり。

 

指揮:阿部 加奈子
演出:ダヴィデ・ガラッティーニ・ライモンディ
ファウスト:村上 敏明
メフィストフェレス:アレッシオ・カッチャマーニ
マルグリート:砂川 涼子
ヴァランタン:岡 昭宏
シーベル:向野 由美子
ワグネル:大槻 聡之介
マルト:山川 真奈
合唱:藤原歌劇団合唱部
バレエ:NNIバレエ・アンサンブル
演奏:東京フィルハーモニー交響楽団