三島の見解

古の女子高生

【オペラ?】紅天女(日本オペラ協会)

 

2020113日(月)1400開演

日本オペラ公演

紅天女

Bunkamura オーチャードホール

 

 

 

 

スーパーオペラってなんですか?

 

 

 

 

原作を全く知りません。ですので原作配慮なしの感想になります。

 

 

 

 

 

物語としてはとても面白いと思いました。なんとも日本的な女性(阿古夜)の在り方。神さまの在り方。途中から結末が想像できましたが、わかっていても切なくなりました。

 

 

 

1幕は時代や状況の説明がほとんどで(故に暗転が多い)原作を知らない人としては若干置いていかれている感がありました。誰がどれでなんなのかわからない。予習してこいと言われればそれまでですが。2幕以降は物語がきちんと展開され主要人物のキャラクターなどがわかり楽しめました。

 

 

 

 

 

 

いいなと思った点は、

 

 

 

和楽器

和楽器がオケピにいるの新鮮。和装の方がオケピにいるのかっこいい。和楽器が入ることによって世界観がはっきりしますね。

 

 

 

小林沙羅さん

このオペラがオペラとして成立したのは彼女の実力でしょう。透き通る声と美しさで存在感がありました。紅天女を演じているときの美しさと力強さ、阿古夜を演じているときの愛らしさと儚さ。二役ですが演じ分けつつ分けすぎない。上手に演じていました。沙羅さんは動作がとても美しい。手の動かし方や歩き方、倒れ方も舞台にいる人として洗練されていました。

 

2幕後半あたりから声が飛ばなくなってきたのが少し気になりました。疲れでしょうか?響くことは響くのですが前半に比べて声量が落ちた気がします。2幕ほぼ歌ってたしな。

 

 

とりあえず美しい沙羅さんでした。今度は外国語のオペラでお目にかかりたいです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

原作の良さや雰囲気を出すための演出手段であれば申し訳ない気もしますが、気になったことをいくつか。

 

 

 

 

暗転多すぎ問題(特に1)

暗転に次ぐ暗転の暗転。暗転による暗転のための暗転。主役は暗転だ!!

 

 

上で書きましたが、1幕は説明が多いので1場面1場面の繋がりが薄く暗転せざるを得ないつくりになっていました。が、それにしても暗転しすぎですよ。ステージになにもない時間が多すぎ。しかも11回が長い。暗転といってもオケピの電気はついているので袖に捌ける姿がみえてしまう。

 

 

暗転中も(たぶん)笛のみの演奏で大道具の音が響く響く。移動の音はしょうがないものとしても、演奏の邪魔をするレベルなら転換の時間にしてしまった方がよいのでは?奏者にも失礼。

 

 

 

もし演奏中に転換したいならオーケストラ全体で演奏をするか、和楽器をステージにあげ視覚でも勝負した方がよい気がします。和楽器であれば舞台にいても世界観壊れない気がしますし(バイオリンがいたらアウトだろうけど)舞台空間も余っていたので(後で書きます)結構良い気がするのです。(誰?)

 

 

2幕は気になるほど暗転しませんでしたが、逆に1幕のせいで1場面が長く感じるという暗転被害。

3幕に関して死んだ人が生き返るって自ら歩いて捌けるという奇跡を目撃してしまった。

 

 

 

 

 

 

日本語の扱い

日本語の音楽の相違。なんと言ったら良いのでしょうか。日本語が美しくはまらないのです。間延びする日本語。外国語のオペラに無理矢理日本語を当てはめて歌っているようなハマらなさ。違和感。

 

特に「~じゃ。」「わし~」と言った言い回しが馴染まない。原作のセリフを使っているのならばそれは大事にされるべきです。でも美しく聞こえない日本語は嫌だ。いくら字幕があるからと言って言葉の切れ目がわからない文章は嫌だ。原作は大事!だったら歌い方や音楽で合わせていこう!!!(?)

 

 

 

 

 

 

吉野の鉄格子、京の鉄格子

舞台両サイドの鉄はなんですか???鉄格子ですか???牢屋ですか!!?

 

 

何か意味があるのでしょうか。セットが剥き出しになっているけど隠す予算はないのです。と見える。あれはみえていいものなのか。もしかして原作にあるの?

 

両サイドの鉄格子で舞台の空間を区切ってしまっているので舞台の余白が多い。空間余りまくり。花でも飾っておけって感じでした。(鉄格子って呼んでますが正確にははしごみたいな何かです。)

 

 

 

 

阿古夜と紅天女の着替え空白

着替えている時間に着替えている方を見なければいけない。客が着替え待ちをする謎。

 

着替え大変だね。長いよね。和装だもんね。って誰かが喋ってる副音声チャンネルでもあったのか。聞いてないぞ。

 

誰か歌うとか踊るとかなんかしてて。本当に本当に空白だった。

 

後、着替え用の白い幕?が上がりきる前にお手伝いの人が動くから着替えが入ってる箱(カゴ?)が見えちゃったんだよね。舞台に現実を持ち込んだらダメだよね。

 

 

 

 

 

フィナーレ長すぎ問題

阿古夜が死んだところ(ネタバレか?)で幕切れで良かった気がするのですが、ここも原作との兼ね合いでしょうか。

 

曲がとても綺麗でフィナーレらしく壮大で素敵だったのですが、引き延ばし引き延ばしで阿古夜の死に際の美しい場面がどんどん廃れていってしまいました。阿古夜が死んで照明が落ちた後、木を切っている音(多分)が聞こえてくるのもとても良かった。そのまま続きは観客に委ねて欲しかった。(好みでしょうね。)

 

 

最後の最後はなんとか先生よろしく全員集合で終幕。これも綺麗ではあったのですが、阿古夜が死んでから全員集合までが長い長い。いや、長くてもいいのですが長さが気になるのは避けてください。

 

 

 

 

 

 

その他(過剰書き)

・桜()の木が伸びる時に舞台から木が生え、天井から花が降りてくるので合体するまでなにが何んだかわからなかった。気が生えるまで花下げるの待って(3)(1階から見たら同時だったのかな)

 

・接着剤で足をくっつけられている歌手の皆様。テンプラオペラ芝居。

 

・天丼マンの踊り。

 

・全体的に長い。休憩含めて約4時間。長い=悪い、ではないけれど長さを感じさせるのは良くない。もう少しダイエットを求めます。

 

・歴史ドラマもオープニングのような壮大なオーケストラが始まったかと思ったらディズニー音楽のようなファンタジーも出てくる。一貫性がほしいかもしれない。

 

 

 

 

 

 

 

原作ファンの方や関係者の方が満足しているのであれば成功だと思います。原作は大事にされるべきだしファンの気持ちを裏切らないような作品を作るべきだと思います。ですので舞台としてオペラとしてオカシイ部分が出てきても許せます。原作を大事にした結果の完成形ならなんとか割り切りましょう。

 

 

 

 

ただこの記事は飽くまでオペラ好きの端くれから舞台作品としての感想を書きました。原作ファンの方が不快な気持ちになったらすいません。

 

 

 

 

 

物語はとても面白いし音楽もそこまで悪くはないと思います。ただ舞台の使い方や音楽と歌詞、歌手のバランス等々大きな課題有り。漫画原作のオペラとして新しい枠つくるのなら、初演を壊すくらいの改善が必要。

 

 

 

簡単ではないことに取り組んでいることは素晴らしい。だからこそもっと向上してほしい。

 

 

 

 

 

 

 

オペラファンの端くれ、三島より愛をこめて。