三島の見解

古の女子高生

【オペラ】エフゲニー・オネーギン(ノーヴァヤオペラ)

2023年11月23日(木)19:00公演

ノーヴァヤオペラ

ピョートル・チャイコフスキー作曲

エフゲニー・オネーギン



 

 

 

 

 

 

 

 

 

お世話になっております。

三島でございます。

 

 

 

 

 

 

 

この日はモスクワにあるノーヴァヤオペラにてエフゲニー・オネーギン(以下オネーギン)の公演を観に(聴きに)きました。オペラのオネーギンを劇場で観るのはとても久しぶりでした。来年は頭に新国立劇場の公演が控えていますがその後はどうでしょうか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

では感想いってみよー。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ノーヴァヤオペラさん

世界的に有名であるボリショイ劇場が車道に向かってドンと構えてると比べると庭園(エルミタージュ庭園)の中にヌルッと存在するノーヴァヤオペラの劇場は外観に圧がないです。他劇場と比較する必要はありませんが、所謂オペラハウス的な外観はしておらず、大きなお家(シルバニア?)みたいな風貌でカジュアルな雰囲気でした。人の流れがあったので迷子にはなりませんでしたが、人の流れがなく、かつ暗い中だと劇場を見つけられずに迷子になっていたかもしれません。



 

 

 

 

 

 

 

 

ボリショイ劇場ドン!のお写真

 

 

 

 

 

 

 

 

 

入り口にてチケットチェック(バーコード読み取り)を行い、階段を降りコートを預けました。私はチケットを印刷して持って行きましたが、前の女性はスマホで表示していました。スマホのせいなのかコードの読み取りに苦戦しており、一方私の持っている紙のチケットは一瞬で読み取ってもらえたので印刷して持っていった方がスムーズなようです。それよりもなによりもチケットを自分で印刷できるのは良いですね。コンビニまで行かなくていいですし、なんとか手数料やなんとか発券料を取られませんし。チケット販売サイトに謎利用料を払う必要もなかったです。このあたりのシステム事情は全くわかっておりませんが手数料ないのは嬉しいです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

コートと一緒に帽子も預けると「コートの袖に帽子を突っ込んでいいか?」と聞かれました。この劇場だけではなく、他の劇場や美術館でも聞かれたので最後の方は自ら袖に突っ込んでから渡しました。2月の渡航の際は1度も聞かれませんでした。(今シーズンのトレンド?)コートを預け引き換え札をもらい来た道を戻ります。入り口階に着いたらさらに階段を登り1階席の階へ到着。移動の導線には過去の公演の写真(ポスターかな?)がたくさん飾ってありましたがじっくり見る時間は取れませんでした。客席内には木目が可愛らしい椅子が並んでおり、高級感はないけれど暖かさがあり、椅子一つとっても全く印象が変わるのだな、と勉強になりました。劇場のハード面(建物や内装など)での違いを感じれることはとても新鮮で楽しいです。劇場ごとに違う色を持っていますね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

幕がなく、客席に入ったらすぐに舞台セットが確認できました。床が緑色。舞台上の後方と両脇に合計5枚の扉がありました。この扉は手動です。また、各扉近くに椅子数脚と舞台前方に二脚ありました。舞台が凸のようなかたちになっていて前方の真ん中だけオーケストラピットに飛び出るようなかたちになっておりました。あまり舞台を広く使わず、主要なイベント事は前方の飛び出た部分で行われていました。舞台後方は合唱が埋めている程度で合唱がいないときはガラ空きでしたね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

オーケストラさん

あらまあびっくりオーケストラの皆さんがいるところが客席と同じ高さなのです。通常のオペラ公演のように穴に埋められていない。演奏者の顔も楽器もよく見えました。自分のパートがお休みで暇そうな金管楽器の某楽器さんが印象的でした。ずっと眠そうだった。ハープが両端に置いてあり、また、舞台上と同じ高さの場所で演奏されていました。ハープの音色が両脇から聞こえてくるのがとても心地良く、そして美しくて客席との位置関係が異なるだけでこんなにも聞こえ方が違うのかと実感しました。1番のお気に入りはコントラバスの音色が常に聞こえてきたところです。席がコントラバス側だったのでこちらも常にダイレクトアタックの低音をくらっておりました。私は低音楽器の低音、高音楽器の低音が好きな低音重視人間なのでお得な席に座れたな、と思っております。ただこの席だとコントラバスばっかり見てしまい舞台上をほったらかしにしてしまいます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 
ちょっぱやオネーギンさん

驚きの休憩なし。ちょっぱやオネーギン上演でした。

 

 

 

 

 

全体的にテンポが早めで何を急いでいるのかと思いました。もしかしてオネーギンさん好かれていない?逆か?好きすぎてか?序曲も手紙の場もグレーミン公爵のお歌も情感三分の一カットといった感じでどんどん先に進みます。不自然とまではいかないけれど音楽と感情の物足りなさはある。かっ飛ばしながら進むけれどいくつか大胆にテンポを落とす箇所もありました。正確に覚えていないので「どこが」と書くことができませんが私が「え?そこ?」と思ったということだけ書いておきます。休憩ないので覚えらていられず。1つだけしっかりした記憶がある。1幕1場の姉妹のママと乳母(以下ニャーニャ)の「Привычка свыше нам дама〜」の入りのテンポがものすごくゆったりでした。この部分はちゃかちゃか歌う印象も持っていたので驚き。後奏はあっさり終わりましたが。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

休憩を挟まない関係か各幕や各場面の終わりと始まりの繋げ方が印象的でした。1拍も1秒も休まずに進みます。幕と幕の間、場面と場面の間を感じさせないように音を繋げており「休憩?させないけど?」という圧を感じました。各幕が繋がるような音楽は意外にも興味深い仕上がりで、滑らかさもありましたし、次から次へとやってくる音楽の波のおかげでおチャイコ先生(チャイコフスキー)の音楽をひたすら浴びることができました。とても忙しいですし、音楽に置いて行かれそうにもなりましたが、一種のアトラクションと思えばかなり楽しい体験になりました。音楽を堪能することはできないけれど音楽に振り回されることができる。しかし奏者も客席も大変だ。忙しい。私たちは座っているだけなのに!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ちょっぱやオネーギンのために犠牲になった方々もおられます。覚えている範囲になりますが、カット部分を紹介し哀悼の意を捧げます。

 

 

 

 

 

 

 

まず、新国名物である「вайну вайну」のカット。同じカットの仕方だー。嬉しいー。とはなりません。ここの合唱がなくなることの寂しさより、このお歌がないことによって次のタチアーナさんの入り(「Как я люблю〜」)が乗り切らないというか目立たないというかもっとなんかあるでしょ?となるのであまり好きではない。全体に当たっていたライトがグッとタチアーナさんに絞りこまれるような音楽の流れが好きなのです。合唱のお声は非常に良くこの部分は舞台に登場しないのでお顔が見れないのがとても残念でした。先陣を切る男声の明確名称な発声、その後に続く合唱の声も良く、膨らんでいくようなお声が聞いていて心地よかったです。確証はありませんが2階席後方から歌っているように聞こえました。

 

 

 

 

 

 

 

 

次に、タチアーナさんの手紙の場の後のニャーニャとのやり取り。朝が来たことを思わせる音楽や可愛くてたまらないタチアーナさんとニャーニャの会話が聞けないのはとても寂しい。ここがカットなので大きな問題が発生します。「手紙はどうやって届けられたのか?」です。オネーギンさんはきちんと手紙を持って説教しにきたので発送されたことは確かで受け取られたことも確かです。風にでも運んでもらったのかな。なんてロマンチック。

 

 

 

 

 

 

 

 

最後にポロネーズのカット。全カットではなくちょっとだけ演奏していた模様。最初の方をちょっとやってすぐにもみあげグレーミン公爵登場といった感じでした。このときポロネーズが聞きたくて「よっしゃーきたー!」と喜んでいたらあっという間に終わった。肩透かしとはこのことですね。

 

 

 

 

 

以上3名のカットに心より哀悼の意を捧げます。

 

 

 

 

 

 

 

終幕まで休憩なしカットありでぶっ飛ばしたくせのに最後にオマケ演奏がついておりました。死んでしまったレンスキーくん含め全員がステージ後方から歩いてきます。プログラムによると決闘の序曲(?)の断片とレンスキーくんのお歌だそうです。歌いませんが。亡霊なのか?オネーギンを責めているように見えた。よくわからないけれど。後ろから全員でずらずらと歩いてきた。オネーギンさんが舞台前方にいるのでオネーギンに対してのなんらかのメッセージかな?わからなかった。演奏的な問題はなかったように聞こえましたが不思議な時間でした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

歌手について

タチアーナさん

とにかく上手。そして可愛い。明るい髪色とショッキングピンクのワンピースが似合う。1幕から終幕まで同じ衣装です。3幕はワンピースに羽織るような形で袖をつけてました。手袋とアクセサリーも装着。終幕のオネーギンさんとのやりとりの前に袖を脱ぐ仕様。

 

 

 

 

オリガと手を繋いで歩いているだけで涙(新国トラウマ)。家族の中で大切にされているけれど、ちょっと浮いているような立ち位置なのがよくわかった。ママのタチアーナさんに向ける視線がときどき冷たすぎるの笑った。対応しきれないところがあるんだろうな、と思わせる。

 

 

 

 

 

出だしから最後まで緩むことない発声が良い。思ったより明るい声であった。ブレスの位置がわからないほどに滑らかにお歌を歌う。手紙の場はオーケストラが前に出てこなくて、この場面はオーケストラとの会話だと思っている私からすると物足りないけれどタチアナさんが優秀で自分で音楽を進められることができるのでよかったです。歌手の一人勝負みたいな感じで歌える場面だとは思っていなかったので新たな気づきとなりました。お歌面の問題はなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

オリガ

そう!そう!オリガってこういう声!と褒め称えたい声。低音がしっかり響くことにお礼を言いたい。

 

 

 

衣装は緑のワンピース。タチアーナさんとも仲良しだし家族でも一番愛されているような雰囲気。可愛らしい。レンスキーくんに対しては結構ドライな対応をしているように感じました。決闘お申し込みの場面あたりもそこまで動揺していない。鋼の心をお持ちなようです。

 

 

 

 

 

 

 

レンスキーくん

登場からオリガへの愛を歌うとき、その後の決闘お申し込みあたりも良い声だけれど面白みがないというか見落としそうなレンスキーくんでしたが、レンスキーくん最大にして最後の見せ場の決闘前のお歌はとてもよかったです。本当に上手だった。ここまではジャブだったのでしょう。無駄な力みがなく声も安定していた。出だしの「Куда куда〜」の弱々しさが良い。弱いけれどきちんと響くし歌詞もわかる。「Что день грядущий〜」の最初の音の張り上げないけれど弱くなりすぎずといった塩梅が素晴らしくて感動。

 

 

 

 

 

 

 

 

オネーギンさん

タイトルロールなのにパッとしない。消えちゃいそう。身長が高いので見た目と存在感はあるのですがお歌のつかみどころのなさが顕著で終始物足りなかったです。1幕のオネーギンのお歌は朗々と歌いすぎちゃって説教ではなくなっている。イタリアオペラみたいだった。知らない人が聞いたら歌い方と中身が一致しないと思う。上手ではあるけれどそっちではない感がありました。決闘前にレンスキーくんと歌う場面では途中で肩を組み出して組体操でも始めるのかと思いました。3幕のタチアーナさんと歌う場面で歌詞が一箇所歌詞が飛びました。焦るね。

 

 

 

 

1幕でレンスキーくんがオリガに対して歌っているときにちょっと後ろでタチアーナさんが椅子に座りその横に立っているオネーギンさんが面白かった。一緒にいるのにほとんど会話せずにレンスキーくんたちを見ているのがシュール。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

グレーミン公爵

もみあげが印象的。3幕のお歌があっさりしすぎて印象に残らず。グレーミン公爵ってこのお歌で存在感だす以外の方法がないので大変な役だ。あっさりグレーミン公爵は残念なことに自分のお歌の2回目の出だしから「〜бойцу с седою головой!」まで男性合唱にとられてしまいまして更に印象が薄くなる。合唱良い声だった。グレーミン公爵も良い声ではあった。最後はあまり長く伸ばさすに終わっていました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ママとニャーニャとトリケさん

良い声。女性陣の充実具合最高。ありがとうございます。ニャーニャがタチアーナさんを心配そうに見つめる視線が印象的で暖かかった。トリケさんは上手だったけれど声がトリケっぽくなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

以上です。

面白い体験だった。

(ちょっぱや部分除いても)ライトなオネーギンだった。

どこもドラマチックにしないしどこにも重さを持たせないような音楽と演出だったと思う。

でもそれがオネーギンなのかな?とも思います。学びが多かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

ではまた劇場で。

 

 

 

 

 

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