三島の見解

古の女子高生

【バレエ】パキータ(日本バレエ協会)

2024年3月9日(土)18:00公演

東京文化会館大ホール

公益社団法人日本バレエ協会公演

2024都民芸術フェスティバル

パキータ

 

 

お世話になっております。

三島でございます。

 

 

この日バレエを観に東京文化会館へ。

なんでもいいからバレエが観たいと思いチケットを購入。

パリオペショックから抜け出せずにいたら一ヶ月も経ってしまいました。

パリオペショックはこちら↓

mishimashikahika.hatenablog.com

 

それでは感想いってみよー。

(以下全て敬称略)

 

 

 

本日のパキータ

演目はアンナ=マリー・ホームズによる演出・振付でお送りする世界主演のパキータです。そもそもこの作品は、最後のお祝いの場面のみ上演される機会が多いですが全幕が上映されるのは珍しいそうです。

 

 

開演前に日本バレエ協会さんから舞台上でのご挨拶がありました。挨拶の中で今回の演出・振付のアンナ=マリー・ホームズと演出補のリアン=マリー・ホームズ・ムンローが登場し今回の演出についてや注目ポイント、マイムの説明がありました。

 

 

ストーリーに重きを置いた演出とスピーディーな物語展開になっているということでした。実際に幕が開いてみると物語に比重が置かれていることがよくわかりました。ただ物語を重視しているだけではなく、物語を客席に伝えることにも長けているように感じました。パキータとリュシアンが出会う瞬間はピンスポット(照明)で2人を照らし視線が他に行きにくいようにしており、安直ではありますが最大限の効果を発揮していたように思えます。また、メダリオンの大きさがやや大きめでした。プロローグでメダリオンと共に放置された赤ちゃんと1幕のパキータが腰につけているメダリオンが一致するので、「主役どこ?」「パキータどれ?」といった状態を防げます。上演頻度が少ない作品や新演出でどのように登場するかわからないときにキーアイテムになるものがあると理解を助けてくれますね。

 

 

 

開演前にマイムについての説明があったことも物語の理解度を上げることができよかったです。この演出のオリジナルマイムだそうです。(聞き間違いだったらすいません。)説明がなくてもわからなくはないですが、演出側から正解を教えてもらった状態で観劇ができると心が楽ですね。意味を考えるのも楽しいですが、この日は純粋にバレエを楽しみたかったので説明はありがたかったです。

 

 

メダリオン」のマイムでバレエダンサーの手の綺麗さを味わうことができたり、「戦士」のマイムがちょっとカッコよかったりとお得なマイムでした。ただ、物語のわかりやすさはありましたがマイムの時間が多過ぎた気もします。「いつまで喋っているの?」という気持ちになったのは嘘ではない。

 

 

開演前の説明にあった通り(パンフレットにも書いてある)、お祝いの場面(2幕3場)までの進行は大変にスピーディーでした。私はスピード感がある演出や作品が好きなので、私の好みと完全一致した演出で嬉しかったです。スピーディーといっても、ただ速いだけではなくキャラクターの心情がしっかり乗っかっているのでキャラクターやバレエダンサーがスピードについていけていないような印象はなかったです。客席は好みがあると思うので速くて辛かった人もいるかもしれません。ただ私は好き。

 

 

 

オーケストラに関しては、そこまで書く事は無いので、こちらで2、3個。まず、音楽が聞こえてくることに大きく感謝いたします。特別どこが良かったということは無いのですが、安定した音楽が続いていたということと、フレーズや曲ごとののメリハリがあり、柔らかいところは柔らかく鋭いところは鋭くといったような音楽表現があったかなと思います。2幕2場の弦楽器がちょっと物足りないというか、もうちょっとたっぷり演奏してほしいなと思いましたが、オーケストラの全力お祝いモードは良かったと思います。ジャパン・バレエ・オーケストラはバレエ協会が発足したオーケストラだそうです。劇場付きや団体付きのオーケストラとまではいかないですが、バレエ音楽への理解が深い団体なのかなと思いました。専属って難しいけれどこのような団体がそれだけで職業として成立し、増えていけば業界の未来は明るいですね。難しいですね。

 

 

 

以下幕ごとの感想。

今回は特に注目しているキャストがいなかったので、数行だけ幕ごとの感想を書いて終わります。

 

 

 

1幕

女性陣の衣装が可愛いものが多く全員の衣装にある程度は手がかかっているように見えました。オペラでペラペラのお金ない衣装に見慣れているのでお金がかかってそうで感動しました。どの衣装も濃い色を使っていてはっきり見えるのがよかったです。パキータの友人たちのうち2人が着ていた青(紫がかった濃い青)の衣装がとても好みでした。椿姫もそうですが、バレリーナが着るオフショルダーの衣装ってなんであんなに可愛いのでしょうか?また髪型も引っ詰めお団子ではなくハーフアップやポニーテールにしていて可愛いだけでなく踊るときに髪が揺れるのが美しかったです。

 

 

 

リュシアンが登場の際の圧倒的主役感に安心と感動と感謝の気持ちがありました。あんなに楽しみにしていたパリオペ公演で味わえなかったものをリュシアン(厚地康雄)が1人でやってくれている。リュシアンは舞台後方から歩きながら登場するので存在感がなければその他大勢に紛れてしまいますが、キラキラ度合いが明らかに他と違い隠し切れないオーラ(隠すな)が出ていて大変にありがたかったです。お祝いの場面までほとんど踊りませんが華やかな容姿と歩き方や手の動かし方がとても美しく踊らなくてもバレエダンサーというのはこういうことなんだと改めて感じました。

 

 

 

パキータの友人4人を含む主役以外の踊りのレベルも安定していて気になる事はそれほどなかったです。踊りと物語に集中することができる技術レベルに感謝します。このレベルが「当たり前」な気がしますがなかなか贅沢は言えないのでね。パキータの友人の中で1人だけ笑顔が自然な方(多分、吉田まい)がいました。貼り付けたような笑顔で踊るバレリーナがあまり得意ではないので、この方の不自然ではない笑顔にとても好感が持てました。4人の踊りは技術面での差がそこまでなく、派手さは無いけれど安心して見れる心地よい踊りでした。意識がつま先や手先までいき届いている踊りは美しいですね。この踊りがもっと大きな表現につながっていけば良いなと思います。オーケストラがたっぷり演奏しているのに振りが先に終わっちゃうような感じは常にがあったので、後0.01秒でも音楽をたっぷり使えると見応えが増します。

 

 

 

肝心のパキータ(上野水香)です。表情がとても豊かで可愛かったです。コミカルだけれど面白くなりすぎない表現が素敵です。物語のスピード感に乗っかりコロコロ変わる表情が心情変化をわかりやすく表していて、舞台の立体感に貢献していました。踊りに関してはやや不安が残る踊り方だなと思いました。手の使い方はとても綺麗で美しいのですが、足(下半身)の使い方がその手の美しさについていってないような違和感を持ちました。手と足が別の人のような感覚です。回るときに回転数に関わらず軸足の頼りなさが気になりました。軸足が地面にきちんとついていないように見えました。また回転の終わりの降り方があまり美しくなかったです。最後の最後まで意識を保てていないように見えました。踊りについては両手を挙げて喜べないです。

 

 

パドマタドールの踊りが一番気に入りました。1回だけ背中を大きく反らせる振付があったのですが、背中のラインがとても綺麗でした。また足裏を地面につけた状態で4番ポジションで体を屈めて自転する振りがありましたが、ただ腰が曲がっている人にならず美しい振りにきちんと昇華できるのはさすがバレリーナだなと思いました。

 

 

男性陣の集団の踊りはジャンプの着地の位置や方向のバラバラさは気になりましたが、女性陣の集団は比較的揃っていたので満足です。

 

 

 

2幕(祝いの場面以外)

ほとんど踊りの場はなく、マイムを用いての物語進行に特化していたと思います。リュシアンが腰に剣を所持していないことに気づいて素手で戦う練習をするためにシャドーボクシングのようなことをしたり、寝たふりをしているのがバレそうになって急いで元に戻ったりする姿がかっこいいのですがとても可愛かったです。シャドーボクシングは繰り返しパンチをしていたので「長くね?」と思いましたが、ファンサービスですね。1幕のパキータ同様、面白くなりすぎずバレエの範囲を出ないレベルでのコミカルさは良いですね。

 

 

パキータもとても可愛く、リュシアンに暗殺計画を伝えたり、睡眠薬が入ったコップをすり替えたり忙しそうにしておりました。メダリオンを見つけて隠していたイニゴ(寝てる)をパカパカ殴るお芝居が可愛すぎました。踊る場面がほとんどなかったので、そこまで気になる事はなかったのですが、椅子の背に手をかけて後ろに足を上げるときに、上まで均等な力加減であげるのではなく1カ所何かを超えるようなテンションがあったように見えました。

 

 

その後、ドン・ロペスと王子が剣で戦っているのに、何故か一緒に戦い出すパキータとドン・ロペスが捕まった後、剣を取り上げられるパキータが可愛かったです。ひたすらパキータが可愛くて好きな演出です。デルヴィリ伯爵夫人とメダリオンを見せ合いながら「一緒だねー。お揃いだねー。」とやりとりをしている姿もとても可愛かったです。デルヴィリ伯爵夫人とパキータのハグに泣いた。

 

 

 

お祝いの場面

最初に出てきた小さいバレリーナ達がとても可愛いです。みんな同じようなレベルに見えますが、よく見てみると手の使い方や体の倒し具合に差があり、これぐらいの歳でも上手下手がわかれるのだなと思いました。ただまだ小さいのでこれから成長するかもたくさんいるでしょう。とにかく小さいバレリーナ達の未来が明るいことを祈ります。

 

 

リュシアンの踊りは素晴らしかったです。前にあげた足が美しい。すっと伸びていました。ジャンプしながら、空中で開脚をする振り付けでは、ジャンプしている最中にさらに足が開くように見えました。空中滞在時間に何かができるのは意味がわかりません。凄過ぎます。この場面までほとんど踊らなかったのがもったいないです。踊りまくる作品を観にいかなくては。隙のない完成度の高い踊りをありがとうございました。

 

 

 

女性陣は衣装がクラシック・チュチュになりました。何が言いたいかというと、1幕で半分隠れていた足が見えているということです。髪もきっちりとまとめたので、なんというか、ボロが出るというか、この場面だけ見たら満足度は下がりますね。踊りに大きさがないのをスカートや髪のひらひらでごまかしていましたが、それがなくなるので全部バレちゃうような感じでした。もちろん丁寧ではありますが踊りに硬さがありました。かっちり踊りたいのかなと思いますが、硬いかっちりって違うからな。アチチュードの高さが低い方や、滞空時間の短さが気になりました。集団の振付は揃っているのは良い。

 

 

 

パキータはこの場面は調子よかったですね。高速回転のときは安定した軸がありましたし何より全体的に華やかでした。テクニックでどこがすごいということはなかったです。ただ、大きくまとめることができるのは良いことです。小さくまとめるのはみんなできるんだけどそれだと舞台が余っちゃうので、真ん中でポーズをとるだけで舞台の四隅まで埋めるような技術というか存在感は素晴らしいです。

 

 

 

 

以上です。

 

 

 

良い公演でした。

パリオペショックでバレエを楽しんで見れなくなるかと思いましたが無事に克服できました。

全力で拍手したし、拍手する気が起きないような踊りもなかった。

高品質の公演ってやっぱりいいですよね。

 

 

日本バレエ協会さんありがとうございました。

これからも頑張ってください。

 

 

おしまい。