三島の見解

古の女子高生

【オペラ演奏会形式】椿姫

2022年10月10日(月・祝)14:00公演

東急グループ創立100周年記念企画

オーチャードホール×假屋崎省吾

Bunkamuraシアター・オペラ・コンチェルタンテ2022~

椿姫(演奏会形式)

Bunkamuraオーチャードホール

 

 

 

 

 

 

おはようございます。

こんにちは。

こんばんは。

三島でございます。

 

 

 

 

 

 

10月の三連休最終日はスポーツの日だそうです。

馴染みのないスポーツの日です。

そんなスポーツの日は森麻季さんのファンクラブイベント演奏会形式の椿姫を聴きに行きました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

では感想いってみよー。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ファンクラブイベント再び

9月にも来日テノール歌手のファンクラブイベントに意図せず参加してしまいましたが、今回も不覚にもファンクラブイベントに参加してしまいました。

テノールさんの感想はこちら↓)

mishimashikahika.hatenablog.com

 

 

 

 

 

失礼ながら(いつも失礼だけど)森さんはコンサート系オペラ歌手のイメージが強い。全幕歌えるのか?しかも椿姫というドラマ要素が強いオペラでタイトルロールを歌うのか。そんな意外性(?)に惹かれチケットを購入しました。演奏会形式にしてはどの席もチケットのお値段設定が高めでよく売れているなあと感じていましたが、ファンをたくさんお持ちだとチケットをしっかりと売ることができるのね。とても大事なことよね。

 

 

 

 

 

 

 

各種プレガイドでのチケットの販売や各種媒体での拡散を見ていたので、まさかファンクラブイベントだとは思わななかったです。中身の感想はこの後書きますが、この公演は彼女が歌っていることに意味があり、歌唱レベルや表現力やドラマ的要素などは特に求められていないと感じました。彼女が大きなステージで歌い満足して、彼女のファンもそんな「推し」を見れて幸せという世界平和な公演でした。そう、だからファンクラブイベントなのです。オペラを聴きたい・観たい人が行く公演ではなかったのかもしれません。反省。逆に申し訳ない。なのでこれから書く感想はお門違いも甚だしいかもしれませんが、チケットを購入し演奏会形式といえど「オペラ」を聴いた(観た)感想を書かせていただきます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ヴィオレッタ行方不明

とりあえず声が小さいのです。声が小さくても全てが正確に響けは問題ないのですが、この日はこちらが一生懸命声を拾いに行く必要があるくらい小さかった。演奏会形式なのでオーケストラが歌手より後ろにいるし、オーケストラの音自体もそんなに大きくはないのだけれど、声がかき消されることが多かった。確かに高音がピアノでも綺麗に響くし、アジリタ要素がある部分はしっかり転がる。でも得意箇所と不得意(なのかな?)箇所の差が激しく、歌唱が安定していない印象になってしまった。全幕を通して、高音での長い音符は音が響くまでに時間がかかる。半拍くらい遅く耳に届く。視覚と聴覚に時差が発生。雷か。席の位置を考慮しても時差がありすぎる。逆に高音以外の音は長い音符であればあるほど、最初に声を当てた後に引っ込めてしまう。半拍くらいで小声になる。意図して、効果的にそのような歌い方をしているのか?にしては効果がないぞ。息のセーブか、癖なのか。テクニックとしてありえるのかもしれないけれど、全部が全部そう聞こえたのでテクニックとは思えない。

 

 

 

 

 

 

 

『乾杯の歌』と『E strano!』はコンサート等で抜粋して歌うことが多いだろうから慣れているように聞こえたし、安定感もあった。『E strano!』の「sempre liberta〜」部分は2回とも同じように歌っていた。繰り返すところの使い分けって単語であろうと文章であろうと大事だよね。同じ歌詞を歌う時にどのように差をつけるのか。何が変わったのか。音楽表現をしなければいけない部分だよね。ドラマ性が欠如した公演だったからしょがないのだけれど。あと、森さんの場合は「姫」感が強すぎて「高級娼婦」がない。そもそも彼女の存在が大事だから「姫」だろうが「高級娼婦」だろうが「村娘」だろうが関係ないのだろうけれど。

 

 

 

 

 

 

「Madamigella Valery?〜」からのパパとの二重唱の気になった部分を少し。「Non sapete〜」の切実感が欲しい。淡々と歌うのもありだとは思いますが、この公演に関しては「通過」という感じで何もない。ここのヴィオレッタの切なさというかしんどさというか、そういったものが欲しい。表現がない。字幕ありきオペラ。とりあえず楽譜通り。いや、楽譜通りってめちゃくちゃ大事というかそれができないと先に進めないので間違ってないのですが、でも中身なさすぎでしょ。ファンクラブイベントだからいいけど、これが歴とした公演だったら逆に泣いちゃうわ。「Morro!〜」のカスカススカスカ感。一応「!」が付いているのでよろしくお願いしたいところでございますが、ファンクラブイベントなのでしょうがない。

 

 

 

 

 

 

 

3幕はね、よかったよ。声量の少なさと死に際の高級娼婦姫であることがマッチしていた。3幕から始めればよかったのに(意味不明)。自分に役が合わせてくれるスタイルは羨ましいね。音楽に寄せるのではなく音楽が寄ってくる。愛されてるね。

 

 

 

 

 

 

このあたりに関してはどうしようもないのかもしれないけれど手紙を読む声と歌の声がかけ離れてしまってものすごく違和感があった。技術でカバーできる部分ではないような気がしますが。声の質の問題はどうしようもない。手紙の読み方も読んでいるのか、見なくても言えるほど読みましたけど?と言いたいのか謎だった。多分、声の響き方を考えて手紙を見たり外したりしていたのですが(多分ね)、もう少し効果的にできなかったものか。手紙の最後の「Giorgio Germont」から「E tardi!」を経て「Addio del passato〜」の流れがとても収まりが悪かった。「E tardi!」が流れたのも悔しい。ここも「!」が付いているのでどうかどうか何卒です。

 

 

 

 

 

 

 

 

「Addio del passato〜」は壮大すぎる気がする。オーケストラもだけれど、ためが多い。この曲は淡々と歌うことによって悲しみを深めることができるかと思います。もしくは「悲しすぎてキレそう!」のような荒ぶった感じですかね(?)。この場合はオーケストラとはお別れして歌手が一人で荒ぶる必要がありそう。この公演では、壮大にしすぎて狙いすぎ感が出てしまい結果として逆効果な音楽になってしまった。そう感じた。まあ好みだけど。最後の「tutto〜」高音の上げ方は綺麗だった。跳躍にストレスがないところは素晴らしいですね。

 

 

 

 

 

 

 

声量がないながらも全幕を歌唱できることに敬意は示しますが、オペラとしての完成度はほぼゼロに近かったと思います。でもファンクラブイベントだからいいのでしょうね!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アルフレードくん

パワー系テノール。胸から上で声を作っている感じが否めない。「i」の母音がほぼ全て詰まる。3幕の二重唱「Parigi o cara〜」の「P」が「F」に聞こえた。ファリ?どこ?この曲は2人が噛み合っていない感が半端なかったね。声の重なりもあまり綺麗ではなかったし。声が合わないのかな?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

若パパ

ファンクラブイベントの特別ゲスト枠パパ。

 

 

 

歌に関しては、好みはあるだろうけどこのメンバーの中では一線を引く歌唱。だから特別ゲスト枠。声は安定。声量も大きいけれど、力で押し出しているわけではなくオペラを歌う人の声の出し方であった。パパの厳しさがそのまま声になったような、表現と音楽が同じ位置にいるような歌唱だった。

 

 

 

 

「Madamigella Valery?〜」の部分は感情を隠し、ここに訪ねてきた要件をただ片付けるといった感じでものすごく淡々としていた。椿姫スタンダートパパって感じよ。好きっす。だがしかし、ここの二重唱も2人が噛み合ってなかったな。ただパパの安定感を楽しむ時間になってしまったな。疎遠になった息子(パパ)が年を重ねても若さを保っている母親(ヴィオレッタ)が若い男(アルフレード)に入れ込んでいるのを止めに来たみたいな歌に聞こたのですよ。早く説得させて帰りたいだけで母親(ヴィオレッタ)に対する感情はないから息子(パパ)は無だし、母は洗脳されているのか「病気なの」「彼はあきらめないわ」「娘のように抱きしめて」と意味不明なことを言っている。創作始まっちゃったよ。なんの話だよ。

 

 

 

 

 

 

若パパは若いながらとてもよかったね。

ただ、いつも誰かのコピーをしているように見えるからオリジナリティがもっと出せるといいよね(誰?)。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

まとめ

全幕を通して、言葉が音になる度に死んでいくような感覚を味わった。誰にも届かず、音の意味も言葉の意味も理解されず、ただ落下していく言葉と音を聴いていなければいけないしんどさがあった。よく言われることですが、歌だけが「音」と「言葉」を扱う「音楽」であって、日本人からすると西洋の音楽を外国語で歌うことはとても難しいですが、舞台に上がる以上どちらの要素もまたそれ以外の要素も欠かしてはいけないのです。蔑ろにしていい言葉も、捨てていい音もないのです。全てに敬意を持って、演奏する必要があるのです。それが人様からお金をいただくならなおさらです。それをテーマにこれからも様々な公演を観にいき、向き合っていきたいと思います。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ファンクラブイベントの場合はチラシにもHPにも買いておいてください。

よろしくお願いいたします。

 

 

 

 

(↑駅にいた可愛いやつ)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ではまた劇場で。