三島の見解

古の女子高生

【バレエ】ジゼル(K-BALLET TOKYO Spring 2024)

2024年3月24日(日)12:30公演

Bunkamuraオーチャードホール

Daiwa House PRESENTS

熊川哲也 K-BALLET TOKYO Spring 2024

ジゼル



お世話になっております。

三島でございます。

 

この日はバレエを観に渋谷に行って参りました。

日曜日の渋谷には行きたくないのですがなんだかんだでよく行っている気がします。

 

演目は大好きなジゼルです。

ジゼルの観劇は約1年ぶりでした。

 

(2023年2月の観劇↓)

mishimashikahika.hatenablog.com

 

K-BALLETのバレエ公演はお初です。大変気に入りました。

www.k-ballet.co.jp

たった一作品しか観ていないので他の作品を観劇したら印象がまた変わるかもしれませんが、現時点ではかなり良い印象です。大変美しかったです。舞台の隅々まで美しいし、美しさに対する意識の高さを感じました。

 

久しぶりに夢のような舞台に出会いました。

劇場まで行ったのに現実を見せられて帰ることが多いので、非日常を味わえたり、現実逃避できる舞台はありがたいです。

 

「やたらビジュアル(顔)が強いダンサーがそろっている団体だな。」と思っていましたが、踊りの技術力も表現力も強かった。全部持っているのか。最強じゃん。

 

バレエ観劇は絶対に失敗したくなくて、観劇する公演を慎重に選びすぎて結局観に行かないことが多かったです。しかし、今年2月のパリ・オペラ座来日公演観劇で多大なるショックを受けたので(通称パリオペショック)、逆に強くなってきてました。

パリオペショック↓)

mishimashikahika.hatenablog.com

 

私は強くなったので、「国内バレエ団でも来日バレエ団でもなんでもこい!」の心持ちでいたらK-BALLETの公演情報に出会いました。大好きなジゼルということもあり劇場へ。ジゼルを上演してくれなければ観にいくこともなかったかもです。良いタイミングでした。

 

「素素晴らしかった!」で感想が終わりそうなので、お気に入りの美しいポイント数個あげて感想とさせていただきます。

(以下全て敬称略)

 

美しいポイントその①

五番ポジション

男性ダンサーがジャンプした後、綺麗に5番ポジションに着地します。着地の5番ポジションの甘さは気になることが多いので綺麗におさまってくれると嬉しい。崩れちゃう人多いじゃないですか。4.5番ポジションみたいのが出てくるじゃん。綺麗に着地する文化ってなくなったのかと思ってた。でも大丈夫。K-BALLETはみんな綺麗に着地する。綺麗すぎて楽しくてしょうがなかった。

 

最初はたまたま私が見ていたダンサーが綺麗に着地することができる方だったのかなと思いましたが、誰を見ても綺麗でした。乱れることもないし、数回繰り返しジャンプしても毎回綺麗に着地します。フィギュアスケートの見方みたいになってしまっていますがクラシック・バレエです。もちろん飛んでいるときの美しさやジャンプ自体のダイナミックさも素晴らしかったですが、それよりも何よりも着地が美しかった。

 

帰るまでが遠足と一緒で、着地のポジションまでがジャンプだよね。ありがとうK-BALLET。

 

美しいポイントその②

男性ダンサーの脚力

全員の足が強い。ワルツだろうと早いテンポで細かく足を動かしていようと足の力強さが目立つ。柔らかいけれど力強い踊りができる。1幕の「いっぱい収穫したぜ!」の場面の振り付けが忙しそうでよくついていけるものだなと思いました。細かい足捌きにも対応できる筋肉ですね。バレエダンサーの足って本当に美しい。

 

1幕の最初の方で舞台後方にある坂道を上っていくダンサーの歩みが力強すぎて驚きました。

 

ジャンプは高さがある方ばかりではありませんでしたが、高さがなくてもなかなか地上に降りてこないです。体のどこをどういう風に使ったらそんなに長く空中に滞在できるのかぜひ教えて欲しいです。

 

片足ずつ飛ぶときに、先に出した足が地面についてから後にに出した足が地面につくまでの時間が長い。片足がどこかにいってしまったのかと心配になるくらい足が帰ってこないです。空中キープ力がお強い。もちろん足の筋力だけでなく腹筋などその他筋肉も仕事していると思いますが、足がよく見える衣装なので、「脚力すげええ!」っとなっておりました。

 

 

美しいポイント③

コール・ドの動きがそろっている

そろっているように観てあげる必要がない。私が頑張らなくていいの。ありがたい。

 

1幕の男女混合の村人達の踊りももちろんそろっていましたが、やはり最大の美しさは2幕のウィリ達でしょう。チュチュの動きまでコントロールしているのではないかと思ってしまうくらいそろっている。手の高さが同じ、体の向きが同じという要素もありますが、手の使い方や体の動かし方もそろっています。ポーズという点ではなく、動作の部分もそろっているのです。

 

地獄のアラベスクタイムは全く地獄に見えませんでした。涼しそうにアラベスクで移動します。

 

 

 

美しいポイント④

その他大勢まで華やか

 

1幕の村人達が男女問わず一人一人がとても華やかでした。モブ感がないです。誰かが踊っているときのリアクションの仕方が可愛くて真ん中のダンサーそっちのけで後ろの座っている人たちを見てしまった。

 

全員表情が生き生きしてました。踊っている人が近くにきたからとりあえず反応しておくのではなく、本当に何か声をかけているような雰囲気がありました。

 

6人の村人達の踊りのリーダー格(勝手にリーダーにした)の女性の方(長尾美音)はジゼルより表情はかたいけれど、踊りだけ見ればどちらも素晴らしいです。メリハリのある踊り方がジゼルのフワフワしたやわらかな踊りと対照的で楽しめました。全体的に安定感のある踊りと良い意味でギラギラしている雰囲気が舞台上にいるべき人という感じで気に入りました。

 

ジゼルが狂乱中に剣を拾って振り回す場面で、剣をジゼルから取り上げようとする男性ダンサー達が全力で面白かったです。動きがダイナミックなのでジゼルもびっくりして目が覚めそう。終幕間際にアルブレヒトを責める様子も全力でこれまた面白い。

 

エネルギッシュな1幕でした。楽しかった。

 

 

 

美しいポイント⑤

役付きの存在感

上で書いたようにそみなさん全員が華やかですが、役をもらっている方々はさらに存在感がありました。

 

最初に登場するヒラリオン(杉野慧)はビジュアルが良すぎて驚いた。ワイルド系王子様じゃん。新しい役ができてしまった。ヒラリオンが華やかだと「絶対ヒラリオンの方がいいって〜。」と思ってしまい物語においていかれるので困ります。表現がオーバーでわかりやすいので、物語の進行を大いに助けます。ヒラリオンが何やっているかかわからないと一人でちょろちょろしているぼっちになってしまうのでね。

 

狂乱中のジゼルを見る目が印象的でした。踊る場面がほとんどない(死に際くらい?)ので、もっと見てみたいです。ぜひ何かの王子様でお願い致します。

 

アルブレヒト(山本雅也)は登場したときはヒラリオンより華やかさがなくて心配になりましたが、話が進むに連れて引き込まれていきました。じわじわ系です。つい目で追ってしまうような魅力があります。

 

他男性ダンサー同様の着地の5番ポジションが綺麗です。2幕最後の足を打ちながら前に進むところのスピード感と確実にこなしてくる感じが好きでした。ここ過労だよね。

 

(ここ↓46:39〜)

youtu.be

 

山本アルブレヒトは幼さがあるなと感じました。なんか学生っぽい可愛らしい感じがある。ジゼルで遊んでいるようには見えませんでした。誠実ではないと思いますが、立場を捨てた等身大の自分でジゼルと向き合っているように見えました。公演やダンサーによって色々なアルブレヒトと出会えて楽しいです。

 

 

 

ミルタ(成田紗弥)はボス感がすごい。爪先立ち高速移動の美しさ。オーチャードホールの特性かもしれませんが、足音がほとんどしないです。妖精という前提は守りつつも腕の使い方が力強く、ヒラリオンやアルブレヒトのお願いを却下するときに強い意志を感じました。踊り自体は妖精だけあって軽く軽く踊っていました。

 

ウィリ達とほぼ同じ格好をしていますが、1番前に立ち先導していくような雰囲気は長であることを感じさせます。

 

タイトルロールのジゼル(飯島望未)はちゃんと弱そうなジゼルで安心しました。登場したときにあまりにも元気そうだとこの後の死ぬ設定がなくなってしまうのではないかと心配しちゃうからさ。アルブレヒトがジゼルの逆襲に遭わないか気になっちゃうよね。

 

ウィリになってからはもちろんですが、ウィリになる前の1幕でも動きが軽やかで、重力の影響を受けていない様子が恐ろしく、また美しかったです。どの動作でも隙がなく可憐で可愛いジゼルと中の人の強さ両方を楽しめました。

 

ウィリになったときの踊りでは腕の使い方がとても綺麗でした。腕を上げる・下ろすだけでも計算されているように見えました。フワッとなるように力を調整しているのでしょうか。ジャンプをひたすら飛んでいても重くなることがなく、矢印がずっと上に向いているように見えました。地上に足をつけている方が大変なのではないかと思うくらい軽い。

 

1幕の真実がわかって、もらったネックレス捨てる→回転しながら移動する→倒れるが書いたように3つの動作になってしまうとしっくりこなくなってしまうのですが、飯島望未は流れるように倒れていきました。綺麗でした。

 

1幕の最後、アルブレヒトの元へ向かっていってそのまま死んでしまうところはアルブレヒトにリフトされ空に手を伸ばして息を引き取りました。ここがめちゃくちゃ美しかったです。高いところへ上がった後に地面に投げ出されるので高低差でショックがでかい。死ぬって知っていたけれどショック。思わず涙。

 

 

 

最後にオーケストラ

前日のオペラ観劇(小澤塾の「コジ・ファン・トゥッテ」)のオーケストラが頑張っているで止まるのに対し作品は違えどプロとしての演奏をしてくれて安心しました。

 

私はバレエ音楽の演奏には確実性を求めるので、謎の自己主張がなく終止綺麗に演奏してくれていたのは嬉しいです。しかしホルンは不安定だった。ときどき、楽器のバランスが悪くなることがあり、トライアングルがやたらうるさい、メロディよりもアルペジオの方が目立っているということがありました。

 

2幕の最初に舞台上から出てくる白いモクモクがオーケストラピットに落ちてしまいコントラバスの人員が襲われてしまいっていたのが面白かったです。消えるコントラバス

 

以上です。

良い公演でした。

 

チケットの売れ行きがいいのも頷けるし、チケット料金以上の公演内容になっておりました。

たくさんのファンがいるのも大いに理解できます。

熊川哲也のポスターと並んで写真を撮っている人が多かったです。

 

演目の趣味が合わないので次回のK-BALLET観劇の予定は未定ですが、また劇場でお会いしたいです。

 

 

おしまい。

 

 

 

ジゼル: 飯島望未 

アルブレヒト:山本雅也

ヒラリオン:杉野慧 

ウィリの女王ミルタ:成田紗弥

ジゼルの母親ベルタ:ジリアン・レヴィー

クールランド公爵:栗山廉 

公爵の娘バチルド:小林美奈

アルブレヒトの従者ウイルフリード:グレゴワール・ランシェ

6人の村人達の踊り(Peasant Pas de Six):

長尾美音・山田博貴

川本果侑・武井隼人・島村彩・金瑛揮

モイナ:佐伯美帆

ズルマ:大久保沙耶

芸術監督:熊川哲也

演出・振付:熊川哲也

原振付:マリウス・プティパ

振付:マリウス・プティパ(ジャン・コラーリ/ジュール・ペロー版による)

音楽:アドルフ・アダン

舞台美術デザイン:鈴木俊

舞台美術デザインアシスタント:佐藤みどり

照明デザイン:足立恒

指揮:塚越恭平

管弦楽:シアター オーケストラトウキョウ